マツダ・プレマシー

マツダ・プレマシー：19年の歴史を刻んだミニバン

マツダ・プレマシーは、1999年から2018年まで製造販売されたミニバンです。3世代にわたるモデルチェンジを経て、コンパクトな5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへと進化を遂げました。その間、フォードブランドや日産ブランドへのOEM供給も行われ、多様なニーズに対応する数多くのバリエーションが展開されました。本稿では、プレマシーの各世代の特徴や歴史を紐解き、その魅力に迫ります。

初代プレマシー (1999年-2005年): コンパクトミニバンの先駆け

初代プレマシー(CP8W/CPEW型)は、マツダ・ファミリアをベースとしたコンパクトミニバンとして登場しました。5ナンバーサイズに収まるボディは、取り回しの良さを重視した設計です。5人乗りと7人乗りの2種類が用意され、7人乗りモデルは前ヒンジ式の後席ドアが特徴でした。3列目シートは着脱式で、3列目シートを省いた5人乗りモデルもラインナップされました。

搭載されたエンジンは1.8Lガソリンエンジン、トランスミッションは4速コラムシフトATのみで、駆動方式はFFと4WDが選択可能でした。足踏み式パーキングブレーキも懐かしいポイントです。2002年頃までは、フォード店向けにフォード・イクシオンとしてOEM供給も行われました。

初代プレマシーは、発売後も様々な特別仕様車が登場し、ユーザーの多様なニーズに対応しようとしました。例えば、「ブリーザ」や「アットナビ」、「アストラル」シリーズなど、エアロパーツや専用アルミホイール、カーナビなどを装備した限定車が人気を集めました。マイナーチェンジでは2.0Lエンジン搭載の「SPORT」グレードを追加するなど、エンジンラインナップの拡充も図られました。

2代目プレマシー (2005年-2010年): 3ナンバーサイズへの進化

2代目プレマシー(CREW/CR3W型)は、「6+One」というコンセプトのもと、マツダ・アクセラのプラットフォームを流用して開発されました。この世代から全幅が拡大し、3ナンバーサイズとなりました。エンジンは2.0Lと2.3LのMZRガソリンエンジンを搭載し、トランスミッションはインパネシフトの4速ATに変わりました。ヨーロッパ市場ではMTやディーゼルエンジンも設定されていました。

特徴的なのは、両側スライドドアの採用です。2列目シートの中央席は格納式となり、使い勝手の向上に貢献しました。グレードは「20F」、「20C」、「20S」、「20Z」、「23S」の5種類が用意されました。また、4WDモデルも追加され、様々な走行環境に対応できるようになりました。

2代目プレマシーも、数々の特別仕様車や改良が施されました。衝突安全性能においては、日本と欧州の両方で最高ランクを獲得するなど、高い安全性を誇っていました。

3代目プレマシー (2010年-2018年): 流麗なデザインと先進技術

3代目プレマシー(CWEFW/CWFFW/CWEAW型)は、「NAGARE」デザインコンセプトを本格的に採用し、流麗なボディラインが特徴です。Cd値0.30という優れた空力性能により、燃費性能と静粛性の向上を実現しました。エンジンは2.0Lガソリンエンジンが搭載され、「i-stop」アイドリングストップシステムも一部グレードに設定されました。

安全性能も強化され、ブレーキオーバーライドシステムが全車標準装備となり、一部グレードにはDSC（横滑り防止装置）も搭載されました。シートの肉厚感も向上し、快適性の追求も図られました。ただし、純正ナビゲーションは廃止となり、社外品への対応となりました。

3代目プレマシーは、日産自動車へOEM供給され、「ラフェスタ ハイウェイスター」として販売されました。また、2013年のマイナーチェンジではSKYACTIV TECHNOLOGYを採用したことで、さらに燃費性能が向上しました。

プレマシーの系譜と未来

プレマシーは、コンパクトミニバンとしての機能性と、3ナンバーサイズへの進化、そして安全性能の向上を常に追求してきました。3世代にわたるモデルチェンジと、フォードや日産へのOEM供給は、プレマシーが時代のニーズに応えようとした証です。2018年の生産終了により、マツダはミニバン市場から撤退しましたが、その歴史は、マツダの技術力の進化と挑戦の歴史を物語っています。後継車種としては、CX-8のような3列シートSUVがその役割を担っています。

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