マツダ・プロシード

マツダ・プロシード：半世紀にわたるピックアップトラックの歴史

マツダ・プロシードは、1961年から2006年まで製造・販売されていたピックアップトラックです。日本国内での知名度はそれほど高くありませんが、海外市場、特に北米では高い人気を誇り、長い歴史を持つモデルとして知られています。本稿では、プロシードの各世代の特徴や歴史的な背景、そしてモータースポーツでの活躍について詳細に解説します。

初代プロシード (1961年-1965年)

1961年8月、B1500(BUA61)として日本で発売されました。翌年にはバンタイプも登場し、その後、ダブルキャブモデルもラインアップに加わりました。競合車種に比べて優れた走行性能を誇りましたが、価格が高かったことから販売は伸び悩みました。

2代目プロシード (1965年-1977年)

1965年10月に発売された2代目は、1969年にはデラックスモデルを追加。ラジオやヒーターが標準装備となり、快適性が向上しました。1971年にはマイナーチェンジを行い、排気量を1600ccに拡大し「プロシード1600」として発売。フロントグリルやエンブレムのデザインも変更されました。安全面にも配慮し、シートベルトやヘッドレストが標準装備化されました。また、同年よりフォードへOEM供給を開始し、フォード・クーリエとして販売されました。1974年には、北米市場向けにロータリーエンジン搭載モデルの生産も開始しました。ロータリーエンジン搭載モデルはフォードへの供給は行われませんでした。1977年にロータリーエンジン搭載モデルを含む全ての生産を終了しました。

3代目プロシード (1977年-1985年)

1977年、フルモデルチェンジを行い3代目へ。商用車でありながら木目調インパネを採用するなど、乗用車的な要素を取り入れるなど、デザイン面でも進化を遂げました。しかし、1980年には国内販売を中止し、輸出専用モデルとなりました。1981年にはマイナーチェンジを実施し、ヘッドライトのデザインを変更しました。

4代目プロシード (1985年-1998年)

1985年に発表された4代目は、当初は輸出専用モデルでしたが、1990年に「プロシード4WDキャブプラス」として日本国内市場に再登場しました。北米で販売されていたMazda B2600をベースに、日本のユーザー向けに改良が加えられています。特徴的なのは、エクステンドキャブ（＋2シート）を採用し、マツダ独自の「キャブプラス」と命名したこと。駆動方式はパートタイム式4WDのみで、エンジンは2.6L直列4気筒ガソリンエンジンを搭載していました。

1991年には、ダブルキャブをベースにした7人乗りSUV「プロシードマービー」を発表。高い人気を博し、プロシードシリーズの代表モデルとなりました。1993年には、キャブプラスをベースにした限定車「ワイルドブリーズ」も発売されました。1996年にはマイナーチェンジを行い、フロントグリルデザインを変更し、4速オートマチックトランスミッションを設定しました。マービーも2.5Lディーゼルエンジンやガソリンエンジンを搭載したモデルに変更されました。1999年にキャブプラスの国内販売が終了しました。

5代目プロシード (1998年-2006年)

1998年に発表された5代目は、日本市場には導入されませんでした。北米市場でも、フォード製Bシリーズの存在もあり、導入は見送られました。2006年にBT-50が登場するまで販売されました。

フォード製Bシリーズ

1994年、マツダは北米市場における4代目プロシード（UF型）の販売を終了し、フォード・レンジャーをベースとしたバッジエンジニアリングモデルに切り替えました。これにより、フォードはマツダ・ナバホに続く2番目のフォード製マツダ車となりました。生産拠点を日本からアメリカに移すことで、小型トラックにかかる高関税を回避することに成功しました。フォード製Bシリーズは、2002年には名称が「マツダ・トラック」に変更され、2009年（アメリカ）、2010年（カナダ）に生産が終了しました。

モータースポーツ

1974年から1977年にかけて、ロータリーエンジン搭載のプロシードが北米で販売され、1976年のモハベ24時間ラリーに参戦。3位という好成績を収めました。

車名の由来

「プロシード」は英語で「前進する」という意味です。

まとめ

マツダ・プロシードは、長年にわたり世界中のユーザーに愛されてきたピックアップトラックです。日本市場ではニッチな存在でしたが、海外市場では高い人気を誇り、マツダの歴史において重要な役割を果たしたモデルと言えるでしょう。様々なバリエーションや派生モデルも存在し、その歴史は実に多様性に富んでいます。 後継車であるBT-50と共に、マツダのピックアップトラックの歴史を彩る名車と言えるでしょう。

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