マツダ・ユーノス500

マツダ ユーノス500：ブランドを象徴する美しいサルーン

ユーノス500は、マツダがかつて展開していた高級車ブランド「ユーノス」を代表するDセグメント4ドアサルーンです。1992年2月の発売以来、その洗練されたデザインと高い走行性能で多くのファンを魅了しました。ユーノスブランドにおいて唯一の専売サルーンという地位を確立し、ヨーロッパなど一部地域では「Xedos 6」として販売されるなど、グローバルな展開も果たしています。

優美なデザインと先進技術の融合

ユーノスのブランド理念である「10年基準」に基づき開発されたユーノス500は、そのエクステリアデザインに大きな特徴があります。荒川健チーフデザイナー率いるチームによって生み出されたボディは、低く構えた美しいプロポーションと、滑らかな曲面が際立つスタイリングを誇ります。当時、マツダが特許を取得したばかりの「高機能ハイレフコート塗装」を採用し、耐久性と美しい鏡面のような仕上がりを実現しました。その完成度の高さは、かのジョルジェット・ジウジアーロ氏をして「小型クラスでは世界で最も美しいサルーン」と評されたと言われています。これは、後の「4ドアクーペ」デザインの先駆けともなった革新的なデザインです。

エンジンとトランスミッション

発売当初は、K8-ZE型1.8LとKF-ZE型2.0LのV型6気筒エンジンが搭載されていました。1994年のマイナーチェンジでは、FP-DE型1.8L直列4気筒エンジンが追加され、選択肢が広がりました。トランスミッションは5速MTと4速ATが用意され、MT車にはビスカス式LSDとABSが標準装備されるなど、走りの楽しさと安全性を両立させていました。最上級グレードの「20G」には、本革シート、電動ガラスサンルーフ、そして当時まだ珍しかったキーレスエントリーシステムが標準装備されるなど、贅沢な装備も魅力でした。

惜しまれつつも幕を閉じる

マツダの経営状況悪化により、ユーノス500は1995年12月に生産終了。1996年6月には在庫販売も終了しました。しかし、ヨーロッパやオーストラリアでは1999年まで販売が継続されました。オーストラリア仕様は、1996年11月以降は「マツダ・ユーノス500」として販売され、フロントグリルやエンブレムがマツダのものに変更されました。

まとめ

ユーノス500は、マツダの技術力とデザインセンスを結集した、美しく、そして高性能なサルーンでした。短命に終わったユーノスブランドの中で、その存在感は非常に大きく、多くの自動車ファンに記憶される一台と言えるでしょう。そのスタイリッシュなデザインと先進的な装備は、現在でも高い評価を受けており、中古車市場でも人気を保っています。ユーノス500は、日本の自動車史において重要な1台として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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