マツダ・B型エンジン

マツダB型エンジン：小型車からスポーツカーまで支えた名機

マツダB型エンジンは、1987年から2005年まで製造された、1.1Lから1.8Lの排気量を誇る直列4気筒ガソリンエンジンです。その高い信頼性と汎用性から、マツダの様々な小型車だけでなく、フォードやキアといった他メーカーの車種にも搭載されました。特に、初代と2代目ロードスターへの搭載は広く知られています。

B型エンジンの特徴

B型エンジンは、SOHC（シングルオーバーヘッドカムシャフト）とDOHC（ダブルオーバーヘッドカムシャフト）の2つのタイプが存在しました。いずれもタイミングベルト駆動ですが、ベルト切れによるバルブの破損を防止する設計が施されていた点が大きな特徴です。この設計は、エンジンの信頼性を高め、万が一の事態でも深刻な損害を防ぐことに貢献しました。また、様々な排気量と出力バリエーションが用意され、車種や用途に合わせて最適なエンジンを選択することが可能でした。

主要バリエーションと搭載車種

B型エンジンは、その長い製造期間中に数多くのバリエーションが開発されました。ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。

B1型 (1.1L SOHC 8バルブ)

最も排気量の小さいB1型は、52PSという控えめな出力ながら、その信頼性の高さから、[フォード・フェスティバ]やマツダ121、キア・プライドなど、世界中の小型車に搭載されました。

BJ型 (1.3L DOHC 16バルブ)

B5/B6型をベースにショートストローク化することで高回転型に仕上げられたBJ型は、フォード・フェスティバGT-Xなどに搭載され、スポーティな走りを実現しました。低速トルクの不足はVICS(可変吸気システム)によって補われています。

B3型 (1.3L SOHC/DOHC 16バルブ)

1.3LのB3型は、SOHCとDOHCの両タイプが用意され、ファミリアをはじめ、デミオやオートザムレビューなど、幅広いマツダ車に搭載されました。

B5型 (1.5L SOHC/DOHC 16バルブ)

1.5LのB5型は、SOHCとDOHCの両タイプが存在し、ファミリアやユーノス100、そしてデミオなど、多くのマツダ車に搭載されました。DOHCのバリエーションであるB5-ZE型は125PSの高出力を発揮し、スポーティな走りを求めるユーザーにも支持されました。

B6型 (1.6L SOHC/DOHC 16バルブ)

1.6LのB6型も、SOHCとDOHCの両タイプが存在し、ファミリアやカペラといった車種に搭載されました。特にDOHCのB6-ZE型は、ロードスター(NA型)にも搭載され、その軽快な走りに貢献しました。ロードスターへの搭載にあたり、横置きから縦置きへの変更、VICSの非採用、圧縮比の変更などの改良が加えられました。

BP型 (1.8L DOHC 16バルブ)

B型エンジンの中で最も排気量の大きいBP型は、ファミリアのGTグレードを中心に搭載されました。自然吸気仕様に加え、ターボチャージャー搭載のハイパワーバージョンも存在し、210PSという高い出力を実現したGT-Rモデルも存在しました。

BP-ZE型、BP-ZET型、BP-VE型 (1.8L DOHC 16バルブ)

ロードスター(NA型/NB型)に搭載されたBP-ZE型は、軽量コンロッドや高速型カムシャフトの採用、吸排気系の最適化などにより、高い性能を発揮しました。NB型への搭載にあたり、可変慣性吸気システムや圧縮比向上など、さらなる改良が施され、145PSまで出力は向上しています。ターボチャージャー搭載のBP-ZET型も存在し、172PSの出力を実現しました。さらに、可変バルブタイミング機構S-VTを採用したBP-VE型も開発されました。

まとめ

マツダB型エンジンは、その高い信頼性、幅広いバリエーション、そしてロードスターへの搭載など、多くの点で記憶に残るエンジンと言えるでしょう。小型車からスポーツカーまで幅広く搭載された歴史は、マツダの技術力の高さを示すものと言えるでしょう。 現在では生産が終了していますが、多くの車に搭載され、人々の生活を支えた歴史は、自動車史において重要な位置を占めています。

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