マツダ・K型エンジン

マツダK型エンジン：小型・高性能V6エンジンの歴史

マツダK型エンジンは、1.8Lから2.5Lの排気量を誇る60°V型6気筒ガソリンエンジンです。1990年代のマツダ車の心臓部として、高い評価を獲得しました。小型軽量化と高性能を両立させた設計思想が特徴で、数々の革新的な技術が採用されています。

K型エンジンの特徴

K型エンジンは、そのコンパクトなサイズが最大の特徴です。特に、1.8LのK8-ZE型は、登場当時世界最小のV型6気筒エンジンとして注目を集めました。この小型化を実現するため、マツダはDOHC（ダブルオーバーヘッドカムシャフト）のカムシャフト間を歯車駆動とするなど、工夫を凝らしています。全幅と全高を抑えることで、車体の設計自由度を高めました。

さらに、可変共鳴過給システムVRISや水冷式オイルクーラーを採用することで、出力向上と燃費向上を両立。スムーズでパワフルな走りを提供しました。気筒当たり4バルブ（吸気2、排気2）のDOHCバルブ駆動方式も、高回転域での優れたレスポンスに貢献しています。ボアピッチは97mmに統一されています。

各排気量モデルの詳細

K8-ZE (1.8L)

K8-ZE型は、K型エンジンの中で唯一レギュラーガソリン仕様です。1,844ccの排気量から140PS/7,000rpmの最高出力と16.0kg・m/5,500rpmの最大トルクを発生。ユーノス・プレッソ、オートザムAZ-3、マツダ・クロノス、アンフィニMS-6、ユーノス500など、幅広い車種に搭載されました。

KF-ZE (2.0L)

KF-ZE型は、1,995ccの排気量で160PS/6,500rpmの最高出力と18.3kg・m/5,500rpmの最大トルクを発生します。圧縮比は10.0:1、4ステージVRIS、炭素鋼鍛造クランクシャフト、炭素鋼鍛造コンロッド、ピストン冷却用オイルジェット、中空カムシャフトなどの先進技術が投入されています。エンジンブロックはアルミ合金製ですが、メインベアリングキャップとシリンダーライナーは鋳鉄製とすることで、耐久性を確保しています。燃焼室はペントルーフ形状で、バルブ挟み角度は27°です。クロノス、MX-6、ランティス、アンフィニMS-6、ユーノス500、ユーノス800（後のミレーニア）、オートザムクレフ、フォード・テルスターなどに搭載されました。

KJ-ZEM (2.3L)

KJ-ZEM型は、量産車として世界初となるミラーサイクルエンジンです。リショルム・コンプレッサを用いた過給方式を採用し、吸気バルブの遅閉じ制御により有効圧縮比を7.6に下げています。膨張比は10で、3Lエンジン並の動力性能と2Lエンジン並の燃費性能を両立しました。ただし、リショルム・コンプレッサを常時駆動させるため、燃費への影響はほぼ相殺されるとされています。シリンダーヘッドは大幅に変更され、吸気バルブは垂直に近い角度に配置されています。ユーノス800/ミレーニアに搭載されました。

KL-ZE (2.5L)

KL-ZE型は、K型エンジンシリーズの最大排気量モデルです。2,496ccの排気量から200PS/6,500rpmの最高出力と22.8kg・m/4,800rpmの最大トルクを発生します。クロノス、ユーノス800（後のミレーニア）、MX-6、MS-8、アンフィニMS-8、オートザム・クレフ、カペラ（7代目ワゴンのみ）、フォード・テルスターなどに搭載されました。北米仕様のKL-DE型は、フォード・プローブにも搭載されています。

まとめ

マツダK型エンジンは、小型軽量、高性能、そして革新的な技術を融合した、優れたエンジンシリーズでした。それぞれの排気量モデルが、当時のマツダ車の魅力を大きく支えたと言えるでしょう。

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