マニタス・デ・プラタ

マニタス・デ・プラタ：伝説のフラメンコギタリスト

マニタス・デ・プラタ（Manitas de Plata, 1921年8月7日 - 2014年11月5日）は、フランスが生んだ世界的なフラメンコギタリストです。本名はリカルド・バリアルド（Ricardo Baliardo）。「マニタス・デ・プラタ」とは、「銀の小さな手」という意味で、その卓越したギター演奏技術を称賛する言葉として広く知られています。

生涯

南フランスのセットで、ジプシーのキャラバンの中で生まれたマニタスは、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ちました。当初は人前での演奏を好まず、伝説的なギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの死後10年を経て初めて公の場で演奏するようになりました。カマルグ地方のサント＝マリー＝ド＝ラ＝メールで行われるジプシーの巡礼での演奏は、彼の名声を高める大きなきっかけとなりました。

1963年、マニタスの最初のアルバムがアルルの教会で録音され、フィリップスレーベルから発売されました。このアルバムは後にコニサー・ソサエティレーベルから再版され、ブック・オブ・ザ・マンス・クラブでも販売されました。芸術家のジャン・コクトーは、レコードを聴いてマニタスの才能に感銘を受け、彼を称賛する手紙を送ったとされています。また、1964年にアルルでマニタスの演奏を聴いたパブロ・ピカソは、「あの男は私よりも価値がある！」と叫び、彼のギターに絵を描いたという逸話も残っています。

友人であるルシアン・クレルグがニューヨークで開催した写真展を機に、マニタスの音楽はアメリカ合衆国でも高い評価を受けるようになりました。1965年にはニューヨークのカーネギー・ホールでコンサートを開催し、その名声を不動のものとしました。

1967年からは、ダンサーのニーナ・コーティを伴い世界ツアーを行い、数々のライブレコードを制作しました。1968年にはロンドンのロイヤル・バラエティ・パフォーマンスに出演するなど、世界中でその演奏を披露しました。

2014年11月6日、マニタスは引退後に居住していたモンペリエの自宅で亡くなりました。死因は公表されていませんが、2013年4月に重度の心臓発作を発症して以来、体調が優れなかったと伝えられています。

音楽の特徴と評価

マニタスの演奏は、フラメンコの伝統的なリズムである「コンパス」から逸脱しているという批判もありましたが、その自由奔放で情熱的な演奏スタイルは、多くの人々を魅了しました。彼の音楽は、フラメンコの枠を超え、世界中の音楽ファンに愛されています。

家族

マニタスは、音楽一家の出身としても知られています。ジプシー・キングスのメンバーであるバリアルド兄弟（ジャクー、モーリス、トニーノ）は彼の息子であり、レイエス兄弟（ポール、フワンソワ〈カヌート〉、パチャイ、ニコラ、アンドレ）は、従兄弟のホセ・レイエスの息子、つまり彼の甥にあたります。また、オーストラリアのマルチプレイヤー、クリス・フリーマンは、1971年にマニタスからギターを教わっており、彼の音楽に大きな影響を受けました。

他にも、弟のイッポリテ・バリアルド、長男のマネロ・バリアルドなど、多くの家族がフラメンコ奏者として活躍しました。息子のバンボ・バリアルドは、2015年時点でも現役の音楽家として活動しています。

ディスコグラフィ

Juerga! (1963)
Flamenco Guitar (1965)
Manitas de Plata - The world's greatest living flamenco artist (1966)
Manitas et les siens (1967)
The Art of the Guitar (1968)
La guitare d'or de Manitas (1970)
Et Ses Guitares Gitanes (1972)
Excitement of Manitas De Plata (1973)
Hommages (1973)
Soleil des Saintes-Maries (1978)
Feria Gitane (1994)
Olé (1994)
Manitas de Plata at Carnegie Hall (1995)
Flaming Flamenco (1997)
Manitas de Plata (1998)
Camargue de Manitas (1999)
Guitare D'Or Manitas de Plata (1999)
Flores de mi corazon (1999)
Guitarra Flamenco (2001)
Manitas de Plata y los Plateros (2004)

マニタス・デ・プラタは、その圧倒的なギターテクニックと情熱的な演奏で、フラメンコ音楽の可能性を広げ、世界中の音楽ファンに感動を与え続けました。彼の音楽は、これからも世代を超えて愛され続けるでしょう。

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