マヌィチ川

マヌィチ川の概要

マヌィチ川（マヌィチがわ、Manych）はロシア南部に広がるクマ＝マヌィチ窪地における水系の一部を形成しています。特に有名なのは「西マヌィチ川」で、この川はドン川の重要な支流でもあります。全長は約219キロメートルで、カルムイク共和国の南西部にあるマヌィチ・グジロ湖を源流とし、最終的にはロストフ・ナ・ドヌの東部でドン川と合流します。

西マヌィチ川の特徴

西マヌィチ川には、3つの貯水池が設けられています。これにより、元の川の流れが変わり、現在はわずか9.1キロメートルしか川として残っていません。ほとんどは貯水池によってその姿を変えてしまっています。この地域は豊かな自然環境に恵まれており、ヨシ原やステップ地帯が広がっています。これらの生態系には、マガンやアオガン、ハイイロガン、カリガネなどの多様な水鳥が生息しています。

さらに、マヌィチ・グジロ湖とヴェセロフスコエ貯水池は、1994年にラムサール条約に基づく登録地となりました。これは、自然環境や生物多様性の保護に向けた重要なステップとされています。

東マヌィチ川の概要

一方、東マヌィチ川は知名度において劣りますが、重要な水系の一部をなしています。この川はカルムイク共和国の東部を流れ、カルムイクとスタヴロポリ地方の境界を形成しつつ、最終的にはSostino湖に注いでいます。総延長は141キロメートルですが、下流部には干上がる箇所が多く、実質的な長さは220キロメートルに達します。

テレク川から流入する水は、テレク＝クマ運河を通じて東マヌィチ川に合流します。これにより、クマ＝マヌィチ運河とつながり、地域の水供給が強化されています。

歴史的な背景

歴史的には、東西のマヌィチ川上流部が繋がっていた時期もありますが、雨季の間にカラウス川が分流し、その後2つの川に分かれるようになりました。ダムや灌漑用の水路が建設される前には、両河川とも乾季には干上がった状態が続き、小さな淡水池が点在するのみでした。特に西マヌィチ川は1940年以前、東マヌィチ川は1969年以前には極端に水量が減少していました。しかし、20世紀後半に入ると水路の整備が行われ、両河川ともに水量が劇的に増加しました。西マヌィチ川は8.3倍、東マヌィチ川は4.3倍の増水を遂げたのです。

このように、マヌィチ川は多様な自然環境を保持しながらも、人間の活動によってその形態が大きく変化してきました。自然と人間の共生を目指す上で、今後もその重要性が増すエリアといえるでしょう。

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