マヌエラ・ディ・チェンタ

マヌエラ・ディ・チェンタは、イタリアを代表する元クロスカントリースキー選手であり、登山家、そして政治家としても知られています。彼女は1963年1月31日に、イタリア共和国フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県パルッツァで生まれました。1980年代から1990年代にかけて国際舞台で活躍し、冬季オリンピックでは金メダル2個を含む7個のメダルを獲得しました。

選手としての輝かしいキャリア

ディ・チェンタは17歳でイタリアナショナルチーム入りを果たし、1982年にクロスカントリースキー・ワールドカップにデビューしました。最初のレースでは5kmで11位という成績を収め、同年の世界選手権では10kmで17位、5kmで8位に入賞しました。

しかしその後、当時のイタリアスキー連盟会長との対立により、ナショナルチームを離れることとなり、国際試合への出場機会は限られました。1984年のサラエボオリンピックには代表として選出されたものの、5kmで24位、10kmで28位、20kmで26位、リレーで9位という結果に終わりました。その後、再び国際試合から遠ざかりましたが、1988年のカルガリーオリンピックで再び代表となり、5kmで18位、10kmで20位、リレーでは6位となりました。

カルガリーオリンピック以降、ディ・チェンタは国際大会で目覚ましい活躍を見せるようになります。1990年2月18日には、15kmでワールドカップ初勝利を飾り、自国開催となった1991年ノルディックスキー世界選手権では、5kmと30kmで銅メダル、リレーで銀メダルを獲得し、計3個のメダルを手にしました。

1992年アルベールビルオリンピックではリレーで銅メダルを獲得。1993年ノルディックスキー世界選手権では30kmとリレーで銀メダルを獲得し、1994年のリレハンメルオリンピックでは、金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個と、出場した5種目すべてでメダルを獲得するという偉業を成し遂げました。同年にはワールドカップ総合優勝も果たし、まさにキャリアの絶頂期を迎えました。

1995年ノルディックスキー世界選手権では30kmで銀メダル、5kmで銅メダルを獲得し、1995-1996シーズンには2度目のワールドカップ総合優勝を果たしました。1998年長野オリンピックではリレーで銅メダルを獲得し、この大会を最後に現役を引退しました。

引退後の活動

現役引退後、ディ・チェンタはイタリアのテレビ局RAIで解説者を務めたほか、イタリアオリンピック委員会（CONI）や国際オリンピック委員会（IOC）の委員を務め、2005年にはCONI副会長に就任しました。2006年に自国で開催されたトリノオリンピックでは、CONIおよびIOCのメンバーとして、また冬季オリンピックで最も活躍したイタリア人女性の一人として重要な役割を担いました。開会式では五輪旗入場の8人の旗手の一人として、また閉会式ではクロスカントリースキー男子50kmの優勝者にメダルを授与するという大役を務めましたが、その優勝者は実弟のジョルジョ・ディ・チェンタでした。

2006年までCONIの副会長を務めた後、2006年4月の総選挙で与党フォルツァ・イタリアのメンバーとして下院議員に選出され、政界に進出しました。

登山家としての挑戦

現役引退後の2000年からは登山を始め、2003年5月23日にはイタリア人女性として初めてエベレストの登頂に成功しました。

家族

弟のジョルジョ・ディ・チェンタもクロスカントリースキー選手でオリンピック金メダリストであり、陸上競技で1976年モントリオールオリンピックに出場したVenanzio Ortisは従兄にあたります。

マヌエラ・ディ・チェンタは、スポーツ界、政界、そして登山界において、その才能と情熱を発揮し、多くの人々に感動を与え続けています。

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