ウーディネ県

ウーディネ県：歴史と文化が息づく多様な地域

ウーディネ県（Provincia di Udine）は、かつてイタリア共和国北東部のフリウリ＝[[ヴェネツィア・ジュリア州]]に属していた県です。県都はウーディネで、フリウリ地方の中心地として発展しました。州内ではトリエステ市に次ぐ第二の人口を擁していましたが、2017年の行政制度再編により、自治体としてのウーディネ県は廃止されました。しかし、その地理的な名称は現在も残っており、地域のアイデンティティとして重要な役割を果たしています。

名称と地理

ウーディネ県は、フリウリ語では「Provincie di Udin」、スロベニア語では「Pokrajina Videm」と呼ばれています。地理的には、フリウリ＝[[ヴェネツィア・ジュリア州]]の中央部に位置し、南はアドリア海に面し、北はアルプス山脈へと続いています。総面積は4,905平方キロメートルと広大で、州全体の60%以上を占めていました。また、州人口の約40%がこの地域に居住し、人口面でも州内最大の県でした。

ウーディネ県は、北でオーストリア、東でスロベニアと国境を接しており、国際的な位置関係も特徴的です。県都ウーディネは、州都トリエステから北西に約63km、ヴェネツィアから北東に約100km、オーストリアのクラーゲンフルトから南西に約104km、首都ローマから北北東に約468kmの距離にあります。

隣接する地域は、北がオーストリアのケルンテン州、東がスロベニアのプリモルスカ地方、東南がゴリツィア県、南西がヴェネト州のヴェネツィア県、西がポルデノーネ県、北西が同じくヴェネト州のベッルーノ県です。

地域区分と主要都市

県域はフリウリ地方の一部であり、大きく分けて北部の山岳地域「アルト・フリウリ（高地フリウリ）」、県都ウーディネを含む中部の「メディオ・フリウリ」、そして南部のアドリア海沿岸部「バッサ・フリウラーナ（低地フリウリ）」に区分されます。アルト・フリウリの北西部はカルニア、北東部はヴァル・カナーレやカナル・デル・フェッロとして知られています。特にカルニア地方は自治を求める傾向が強く、過去には「アルト・フリウリ県」として分割する住民投票が行われたこともあります。

2001年の統計によると、人口8000人以上の主要な都市・集落には、ウーディネ（94,389人）、コドローイポ（11,406人）、チェルヴィニャーノ・デル・フリウーリ（11,206人）、ジェモーナ・デル・フリウーリ（11,070人）、チヴィダーレ・デル・フリウーリ（8,959人）、フェレット・ウンベルト（8,739人）などがあります。

歴史

19世紀以降、この地域はオーストリア帝国の一部であり、ロンバルド＝ヴェネト王国の一部としてフリウリ県が置かれていました。1866年にイタリア王国に編入された際も、フリウリ県として行政区画が引き継がれました。第一次世界大戦後、東隣のヴェネツィア・ジュリア地方がイタリア領となると、フリウリ県には一部地域が編入されました。その後、1940年に県名は現在のウーディネ県に改称されました。

1968年には、タリアメント川右岸地域が分割され、ポルデノーネ県が設立されました。1976年には、ジェモーナ・デル・フリウーリ付近を震源とする大規模な地震が発生し、甚大な被害を受けました。また、2004年にはカルニア地方を中心とした「アルト・フリウリ県」の分離設立に関する住民投票が行われましたが、否決されました。

観光と文化

ウーディネ県には、世界遺産として「アクイレイアの遺跡地域と総大司教座聖堂のバシリカ」と、「イタリアのロンゴバルド族：権勢の足跡 (568-774年)」の一部である「ガスタルダガ地区と司教関連建造物群（チヴィダーレ・デル・フリウーリ）」があります。これらの文化遺産は、この地域の豊かな歴史を物語っています。

行政区画と著名な人物

ウーディネ県には、134のコムーネ（基礎自治体）が属しており、カンポロンゴ・タポリアーノ、リヴィニャーノ・テオール、フィウミチェッロ・ヴィッラ・ヴィチェンティーナ、トレッポ・リゴスッロといった合併により誕生したコムーネも存在します。

この地出身の著名人としては、カーデザイナーのブルーノ・サッコ、サッカー選手のエンツォ・ベアルツォットとタルチシオ・ブルニチ、実業家のマウリツィオ・ザンパリーニ、サッカー指導者のルイジ・デルネーリ、クロスカントリースキー選手のマヌエラ・ディ・チェンタとガブリエラ・パルッツィ、ジョルジョ・ディ・チェンタなどが挙げられます。また、探検家のピエール・ブラザもこの地域と縁があります。

ウーディネ県は、その歴史、地理、文化において多様な魅力を持つ地域です。かつて県として存在した名残は、今もなお地域の歴史とアイデンティティを語り継ぐ重要な要素となっています。

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