マヌエル・パレオロゴス

マヌエル・パレオロゴス：亡国の皇子、波乱の生涯

マヌエル・パレオロゴス（1455年 - 1512年以前）は、東ローマ帝国（ビザンツ帝国）最後の皇帝コンスタンティノス11世の甥にあたる人物です。帝国の滅亡後、彼は亡命生活を余儀なくされ、その生涯はまさに波乱に満ちたものでした。

モレアス専制公領の滅亡と亡命

1453年、コンスタンティノープルが陥落し、叔父である皇帝コンスタンティノス11世が戦死。これにより、東ローマ帝国は滅亡しました。マヌエルの父であるソマス・パレオロゴスは、モレアス専制公としてオスマン帝国の属国でありながらも、帝国の復興を夢見ていました。しかし、弟のデメトリオスがオスマン帝国の後ろ盾を得て反抗し、1460年、モレアス専制公領はオスマン帝国の侵攻を受け滅亡。マヌエルは父ソマスや兄アンドレアスとともにコルフ島へ亡命しました。

ローマでの困窮

ソマスは西欧諸国の支援を求めてローマへ赴き、マヌエルらも後に合流。ヨハンネス・ベッサリオン枢機卿の庇護のもと、教皇からの支援金を受けながら生活を送りました。しかし、次第に支援は打ち切られ、困窮したマヌエルは1474年、将軍としての職を求めてヨーロッパ各地を遍歴しますが、良い返事は得られませんでした。

オスマン帝国への帰順

1476年、マヌエルは突如コンスタンティノープルへ赴き、かつての敵であるメフメト2世に慈悲を乞うという驚くべき行動に出ます。この行動は、ローマの人々を大いに驚かせました。メフメト2世は彼を寛大に迎え、住まいと年金を与え、マヌエルはコンスタンティノープルで余生を送ることになりました。

オスマン帝国での生活と子孫

コンスタンティノープルで「エル・ガーズィー」（聖戦士）と呼ばれたマヌエルは、オスマン海軍で働いていた可能性もあります。彼は名前不詳の女性と結婚し、ヨハネスとアンドレアスという2人の息子をもうけました。しかし、息子たちは後継者を残せず、マヌエルの血筋は途絶えたと考えられています。

マヌエル・パレオロゴスの生涯は、東ローマ帝国の滅亡という歴史の大きな転換期に翻弄され、亡命、困窮、そして敵国への帰順という、数奇な運命を辿った皇子の物語として、後世に語り継がれています。

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