マパイ

マパイ（エレツ・イスラエル労働者党）

マパイ（ヘブライ語：מפא״י）は、かつてイスラエルに存在した中道左派の政党であり、現代の「労働党」の前身です。1930年1月5日に設立され、当初はダヴィド・ベン＝グリオンが率いる右派労働シオニズム政党「アフドゥト・ハアヴォダ」と、非マルクス主義の「ハポエル・ハツァイル」が統合された結果生まれました。この党は、パレスチナ地域において長らくイシューブ（ユダヤ人コミュニティ）の主導的な役割を果たしました。

第二次世界大戦や第一次中東戦争のさなか、地域の政治的舞台において重要な地位を占めていたマパイは、国の建設後も与党として福祉国家の発展に寄与しました。しかし、1968年には「アフドゥト・ハアヴォダ＝ポアレ・ツィオン」及び「ラフィ」との合併によって労働党となり、マパイとしての歴史は幕を下ろしました。

初代首相の所属政党

マパイの初代首相ダヴィド・ベン＝グリオンは、1948年にイスラエルが独立して以降、長い間国政の中心に位置していました。彼の政党は、社会民主主義に基づく労働シオニズムを支持し、パレスチナやアラブ人に対して比較的寛容な姿勢を示しました。ただし、1960年代後半までの間、党員はユダヤ人に限られており、アラブ系イスラエル人は別の小政党を結成し、連立政権を組むという状況がありました。

ベン＝グリオンは、パレスチナ・アラブ問題に関して非常に率直な見解を持っており、彼が率いる政党のスタンスは多くの議論を呼びました。「我々は彼らの国を奪った」という彼の発言は、彼が抱いていた認識を示しています。このような背景の中、彼は連立政権においてメナヘム・ベギン率いるヘルート党やイスラエル共産党を排除する方針を貫いていました。

政治状況の変遷

ベン＝グリオンの死後も、労働党中心の中道左派の政権は続きましたが、1977年にはメナヘム・ベギンが率いるリクード党が政権を奪取しました。この時期から、労働党は徐々にその力を失い始めました。

1993年、当時の党首イツハク・ラビンが、長年対立していたパレスチナ解放機構のヤーセル・アラファート議長との和平を結び、パレスチナ自治政府の樹立に成功するという特筆すべき成果を上げました。しかし、ラビンが1995年に暗殺されると、労働党の影響力は急速に衰退し、1996年にはベンヤミン・ネタニヤフ率いるリクードが再び政権を握りました。

現在のイスラエル政治の場面では、左右の政治家たちがそれぞれの思惑をもって政争に明け暮れる現状であり、特にパレスチナ問題が引き起こす緊張感からイスラエルの右傾化が進行しています。例えば、2011年には当時の労働党党首エフード・バラックが党員と共に離党し新党を設立する事態が生じ、労働党は議席数を一桁台に減少させ、存在感を薄れさせています。

このように、マパイから派生した労働党は、歴史的・政治的に数多くの試練を乗り越えてきましたが、現在の政局ではその重要性がかつてほどではなくなっています。

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