マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス

『マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス』 は、アダルトゲームブランド「âge（アージュ）」が生んだPC用ビジュアルノベル『マブラヴ オルタネイティヴ』の世界観を共有するスピンオフ作品群の総称です。主にテックジャイアン誌上で連載された小説を中心に、漫画化やフィギュア展開など、多岐にわたるメディアミックスが行われています。しばしば「トータル・イクリプス」や「TE」と略されて呼ばれます。

本企画は、『マブラヴ オルタネイティヴ』の高い人気を受け、アージュ、ボークス、ホビージャパン、エンターブレイン（テックジャイアン編集部）という4社の合同プロジェクトとして発足しました。立体造形によるジオラマ写真、小説、イラストなどを組み合わせる形で、本編のサイドストーリーが展開されました。テックジャイアン2007年2月号より連載が開始され、2009年12月号にて第1部が完結しています。また、2007年8月31日発売のファンディスク『マブラヴ ALTERED FABLE（オルタード フェイブル）』には、物語の序盤がビジュアルノベル形式で収録されています。

物語の舞台は、『マブラヴ オルタネイティヴ』本編の開始より約11ヶ月前となる2001年。場所はアメリカ・アラスカ州にある国連軍ユーコン基地です。ここでは、各国の先進的な戦術機技術を持ち寄り、共同で新型戦術機を開発する「先進戦術機技術開発計画」、通称「プロミネンス計画」が進められています。各国のテストパイロットやメカニックたちが集められた実験部隊を軸に、主人公であるユウヤ・ブリッジスと日本の篁唯依をはじめとする衛士たちの、技術開発における衝突や、異星起源種「BETA」との戦闘、そして人間ドラマが描かれます。

主要な登場人物には、日系アメリカ人であり新型戦術機開発プロジェクト「XFJ計画」のメインテストパイロットとなるユウヤ・ブリッジスや、日本帝国斯衛軍から派遣されユウヤと対立しつつも共闘する女性衛士篁 唯依がいます。他にも、ソビエト連邦から来たクリスカ・ビャーチェノワとイーニァ・シェスチナのコンビ、スウェーデン代表のステラ・ブレーメル、ネパール代表のタリサ・マナンダル、イタリア代表のヴァレリオ・ジアコーザといった、個性豊かな各国の衛士たちが登場し、物語を彩ります。

作中では、各国の戦術機技術開発計画や、ユーコン基地という特殊な環境が詳細に描かれます。アメリカの既存機改修計画である「フェニックス構想」や、日本が独自技術の行き詰まりを打開するためプロミネンス計画に参加した「XFJ計画」、そして謎に包まれたソ連の「П3計画」などが物語の核となります。特にXFJ計画から生まれた不知火・弐型は、日米技術の融合を目指した機体として重要な役割を果たします。また、日本帝国軍が開発した画期的な携行火器である99型電磁投射砲も、その圧倒的な威力と開発背景から物語に大きな影響を与えます。

戦術機については、日本帝国の武御雷や不知火、アメリカのF-15やF-22 ラプター、ソ連のSu-37 チェルミナートルやMiG-29など、様々な国の機体が登場し、激しい戦闘シーンが繰り広げられます。これらの機体は、それぞれの国の戦術思想や技術的特徴を反映しており、作品世界に深みを与えています。

メディアミックス展開としては、まず2012年7月から同年12月にかけて、テレビアニメが放送されました。原作小説の一部エピソードを再構成しつつ、アニメオリジナルの導入部分も描かれました。また、2013年5月には、MAGES.（5pb.Games）より家庭用ゲーム（PS3・Xbox 360）が発売されました。アニメ版キャストによる音声がつき、ゲーム独自のストーリーも描かれています。その他、複数の作者による漫画化作品や、SANKYOからパチスロとしても登場しています。

これらの展開を通じて、『トータル・イクリプス』は『マブラヴ』シリーズの重要な柱の一つとして、その世界観を広げ、多くのファンに親しまれています。

もう一度検索