マヤル・モンシプール

マヤル・モンシプール

揺るぎない意志を持つ元世界王者

1975年3月21日、イランの首都テヘランに生を受けたマヤル・モンシプールは、幼少期の11歳の時に家族と共にフランスへ移住し、新たな生活を始めた。異国の地で成長した彼は、後にボクシングの世界でその才能を開花させることになる。

1996年10月26日、プロボクサーとしてのキャリアをフランスでスタートさせたモンシプールは、デビュー戦で6回TKOによる勝利を飾り、順調な滑り出しを見せた。地道にキャリアを積み重ね、2002年1月18日にはフランス国内のスーパーバンタム級王座を獲得。同年7月13日には、欧州ボクシング連合（EBU）が認定するEBU欧米スーパーバンタム級王座も手に入れた。この地域タイトルは2度にわたり防衛に成功し、着実に力をつけていった。

そして、プロ転向から7年、キャリア27戦目を迎えた2003年7月4日、マヤル・モンシプールはついに自身初となる世界王座挑戦のチャンスを掴む。相手は、同じフランス出身のWBA世界スーパーバンタム級王者、サリム・メジクンヌだった。激しいチャンピオンシップラウンドまでもつれ込んだこの一戦で、モンシプールは最終12回に劇的なKO勝利を収め、待ち望んだ世界王者のベルトをその腰に巻いた。これは彼のキャリアにおける最大のハイライトの一つとなった。

世界王者となったモンシプールは、その後もリング上で躍動した。強豪からの挑戦を退け続け、WBA世界スーパーバンタム級王座を5度にわたり防衛することに成功する。その中には、タイトル奪還を目指すサリム・メジクンヌとの再戦や、ヨーダムロン・シンワンチャー、日本の仲里繁、そしてフリオ・サラテといった名のあるボクサーたちとの防衛戦が含まれる。彼の試合は常にアグレッシブで、観る者を熱狂させるファイトスタイルは「激闘王」とも評された。

しかし、2006年3月18日に行われた6度目の防衛戦で、モンシプールはタイの強敵、ソムサック・シンチャチャワンと対峙する。この試合は壮絶な打ち合いとなり、リングマガジン誌によってその年の「ファイト・オブ・ザ・イヤー（年間最高試合）」に選ばれるほどの激闘となったが、モンシプールは10回TKO負けを喫し、王座から陥落した。

世界王座を失った後、マヤル・モンシプールはリングからおよそ2年8ヶ月もの間、遠ざかることとなる。しかし、ボクシングへの情熱は失われることはなく、2008年12月1日に現役復帰を果たした。復帰後、2009年3月13日には元IBF世界スーパーフライ級王者であるフェリックス・マチャドとの対戦が組まれ、これを5回終了TKOで制し、健在ぶりを示した。

復帰後、モンシプールは新たな目標として2階級制覇を目指す。2009年7月4日、スーパーバンタム級より一つ下の階級であるバンタム級のWBA世界王者、アンセルモ・モレノに挑戦した。実力者モレノを相手に善戦するも、12回の激闘の末に判定で敗れ、惜しくも2階級制覇の夢は叶わなかった。この試合を最後に、彼のキャリアは事実上の終焉を迎えた。

マヤル・モンシプールのボクシングキャリアは、イランで生まれフランスで育ったバックグラウンド、国内・地域タイトルからの世界王座獲得、そして年間最高試合にも選ばれた激闘など、波乱に富んだものであった。彼のファイティングスピリットは、今なお多くのファンの記憶に残っている。

獲得タイトル

• - WBA世界スーパーバンタム級王座（防衛5度）

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