ヨーダムロン・シンワンチャー

タイ王国出身の元プロボクサー、ヨーダムロン・シンワンチャー（タイ語: ยอดดำรงค์ ศิษย์ยอดธง）は、1981年2月15日に生まれた。キャリアを通じて、その卓越した技術と戦略的なファイトスタイルで知られ、WBA世界スーパーバンタム級王座を獲得するなど、輝かしい実績を残した。ヨーダムロン・シッヨートンというリングネームでも活動した彼は、バンタム級からスーパーバンタム級、フェザー級へと階級を上げて戦い続けた。

キャリア初期と国内王座

ヨーダムロンのプロボクサーとしてのキャリアは、1996年6月1日に始まった。このデビュー戦を4ラウンド判定勝利で飾り、プロの道を歩み始めた。順調にキャリアを積み重ねた彼は、1998年2月3日、タイ国内のバンタム級王座決定戦に出場。バンコクで行われたレリチャイ・マイムアンコンとの一戦を判定で制し、自身初となる国内タイトルを獲得した。このタイバンタム級王座は、その後3度にわたる防衛に成功し、国内での地位を確固たるものとした。

PABA王座での躍進

バンタム級で実績を積んだ後、ヨーダムロンはスーパーバンタム級に階級を上げた。1999年11月28日、タイのパッタヤーにて、PABA（パンアジアボクシング協会）スーパーバンタム級の暫定王座決定戦に臨んだ。ハリー・マガウィンバンを相手にしたこの一戦を3-0の明確な判定で勝利し、地域タイトルの獲得に成功した。このPABA暫定王座を2度防衛した後、2001年5月15日にはインドネシアのジャカルタで、正規王者ブラン・ブギアルソとの王座統一戦に挑んだ。この重要な一戦で、ヨーダムロンは6ラウンドKO勝利を収め、PABAスーパーバンタム級の正規王者となった（記録上は暫定王座の3度目の防衛とされている）。

世界王座の獲得

地域タイトルでの成功を経て、ヨーダムロンは世界の頂点を目指した。2002年2月21日、プロ31戦目にして初めての世界王座挑戦の機会を得た。タイのナコーンラーチャシーマー県で行われたこの試合で、彼はWBA世界スーパーバンタム級王者ヨベル・オルテガ（コロンビア）に挑戦した。経験豊富な世界王者を相手に、ヨーダムロンは自身のボクシングを展開し、12ラウンドを戦い抜いた結果、3-0（117-112、118-111、116-112）の明確な判定勝利を収め、見事WBA世界スーパーバンタム級王座を獲得した。これは、彼のキャリアにおける最大の栄光であった。

世界王座陥落とその後

しかし、獲得した世界王座を守ることは容易ではなかった。2002年5月18日、ヨーダムロンは日本のさいたまスーパーアリーナで、挑戦者・佐藤修を迎えて初防衛戦を行った。この試合でヨーダムロンは苦戦を強いられ、8ラウンド1分58秒にKO負けを喫し、わずか3ヶ月で世界王座から陥落した。

世界王座を失った後も、ヨーダムロンはキャリアを続行した。階級をフェザー級に上げ、2003年6月27日にはバンコクで行われたPABAフェザー級暫定王座決定戦で、ロッド・4K・ケブカチェと対戦。判定勝利で暫定王座を獲得し、同年8月15日に行われた同相手との初防衛戦でも再び判定勝利を収めた。

再び世界の舞台を目指し、2004年11月8日には、フランス・パリで行われたWBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、王者マヤル・モンシプールに挑戦したが、6ラウンドTKO負けとなり、世界王座への返り咲きは果たせなかった。その後も日本での試合（2006年4月8日、木村章司に判定負け。同年6月11日、竜宮城にTKO負け）や、ABCOフェザー級タイトルへの挑戦（2006年、2007年にチョンラターン・ピリヤピンヨーに立て続けに敗戦）など、現役としてリングに上がり続けた。

主な獲得タイトル

タイバンタム級王座（3度防衛）
PABAスーパーバンタム級暫定王座（3度防衛、うち1度は正規王座統一戦）
第3代PABAスーパーバンタム級王座
WBA世界スーパーバンタム級王座（0度防衛）
* PABAフェザー級暫定王座（1度防衛）

ヨーダムロン・シンワンチャーは、タイ国内タイトルから地域、そして世界王座へと駆け上がった、その粘り強いキャリアで知られるボクサーである。

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