マリア・クリスティーナ・デ・ボルボン＝ドス・シシリアス

マリア・クリスティーナ・デ・ボルボン＝ドス・シシリアスの生涯

マリア・クリスティーナ・デ・ボルボン＝ドス・シシリアス（1806年4月27日 - 1878年8月22日）は、スペイン王フェルナンド7世の4番目の妃として知られ、1833年から1840年まで彼女の長女であるイサベル2世の摂政を務めました。彼女の生涯は、王家内の複雑な権力闘争や政治的逆風に彩られています。

幼少期と家族背景

マリア・クリスティーナは、ナポリ・シチリア王国の王子フランチェスコと彼の妃であるマリア・イサベルの次女として、イタリアのパレルモに誕生しました。1816年、彼女の祖父フェルディナンド1世が国名を「両シチリア王国」に変更したため、彼女の称号も変わりました。このようにして、彼女は「両シチリア王女」としての地位を得ます。

1829年12月11日、マリア・クリスティーナはマドリードでスペイン王フェルナンド7世と結婚しました。興味深いことに、フェルナンドは彼女の母親の兄であり、マリア・クリスティーナにとっては伯父でもありました。この結婚により、彼女はスペイン王室の一員となることができました。フェルナンド7世は、これまでの結婚生活で男子を授からなかったため、マリア・クリスティーナとの間に息子を期待していましたが、実際には娘二人だけをもうけました。

• - イサベル（1830–1904） - 後のスペイン女王イサベル2世
• - ルイサ・フェルナンダ（1832–1897） - モンパンシエ公と結婚

摂政としての役割とカルリスタ戦争

1833年9月29日、フェルナンド7世の死後、マリア・クリスティーナは長女イサベルを女王として即位させることになりました。この際、新たに施行された王位継承法により、イサベル2世が女性として王位を承継することになりました。しかし、フェルナンド7世の弟モリナ伯カルロスは、女子の王位継承を否定し、第一次カルリスタ戦争を引き起こしました。カルリスタはマリア・クリスティーナの摂政としての権限に異議を唱え、彼女がフェルナンドの遺志を握りつぶしたと主張しました。

この戦争は、単に王位継承を巡る争いから始まったものの、次第にスペインの未来を左右する大きな内戦へと発展しました。最終的には、軍隊がイサベル2世に忠誠を誓い、カルリスタは敗北します。リベラル派によって支えられたマリア・クリスティーナは、娘の王位を堅持することに成功しました。

再婚と失脚

1833年12月、摂政としての地位を堅実に維持していたマリア・クリスティーナは、秘密裏に王室警護官のアグスティン・フェルナンド・ムーニョスと再婚しました。この結婚では、7人の子供が生まれましたが、彼女は再婚を周囲に隠そうとしました。次第に、この事実は知られることとなり、彼女は国民から強く非難されました。

彼女はリベラル派の大臣たちとの関係も悪化し、その発言力は次第に失われていきます。1840年、バルドメロ・エスパルテロ将軍が摂政としての地位を引き継ぎ、マリア・クリスティーナは国を追放されることとなります。イサベル2世が親政を開始した際、王女は母とその再婚相手を呼び戻し、リアンサレス公爵位を与えるなどの行動を取りましたが、マリア・クリスティーナは国民からの支持を得ることはできませんでした。

1854年、彼女はムーニョスとその子供たちを伴ってフランスへ亡命します。

最後の年月

1868年にスペインで革命が勃発すると、イサベル2世も亡命先のフランスへ逃れます。1870年には、イサベルが長男のアルフォンソに王位を譲ることが決まります。その後の1874年、アルフォンソ12世が王として戴冠する際、マリア・クリスティーナとイサベル2世はスペインでの戴冠式に出席することは許されたものの、スペイン国内での居住は認められませんでした。彼女の政治的影響が否定されたためです。

1878年、フランスのサン＝タドレッスで生涯を終え、彼女の遺体はエル・エスコリアル修道院のスペイン王室地下納骨堂に葬られました。彼女の波乱に満ちた人生は、スペイン王国の歴史に大きな影響を与えました。

もう一度検索