マリナ (ケント公爵夫人)

ケント公爵夫人マリナの生涯

ケント公爵夫人マリナ（Princess Marina, Duchess of Kent）は、1906年12月13日にギリシャのアテネで生まれ、1968年8月27日にロンドンのケンジントン宮殿で亡くなったイギリス王室のメンバーです。彼女はギリシャ王子ニコラオスとロシア大公女エレナ・ウラジーミロヴナの三女として生まれ、ギリシャ王ゲオルギオス1世の孫にあたります。また、エディンバラ公フィリップの従姉でもあります。

幼少期と亡命

マリナはアテネで洗礼を受け、その代父母にはギリシャ王ゲオルギオス1世、イギリス王エドワード7世、叔父アンドレアス王子、ロシアのボリス・ウラジーミロヴィチ大公、ウェールズ公妃メアリー、ロシアのヴィクトリア・フョードロヴナ大公妃というそうそうたる顔ぶれが名を連ねました。姉にはオルガ（ユーゴスラビア王子パヴレ妃）、エリサヴェト（テーリンク＝イェッテンバッハ伯爵カール・テオドール夫人）がいます。

11歳の時、ギリシャでクーデターが発生したため、マリナは家族と共に海外への亡命生活を余儀なくされました。その後、彼女はフランスのパリで過ごすことになります。

結婚

1934年11月29日、マリナは又従兄にあたるケント公ジョージとウェストミンスター寺院で結婚しました。ケント公ジョージは、ゲオルギオス1世の姉が彼の祖母アレクサンドラであるという関係でした。夫婦の間には3人の子供が生まれました。

エドワード（1935年 - ）：ケント公
アレクサンドラ（1936年 - ）
マイケル（1942年 - ）

王室の一員として

1942年8月25日、夫であるケント公ジョージが、イギリス空軍での活動中に搭乗していた飛行機の墜落事故で亡くなります。夫の死後、マリナはイギリス王室の一員として公務に積極的に携わるようになりました。彼女は特にオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブの総裁を長く務め、その活動を支えました。

1957年3月には、イギリスの旧植民地ガーナが独立する際、エリザベス2世の代理として独立式典に出席しました。この時、彼女はガーナの独立を祝福し、新たな国の誕生を祝いました。50年後のガーナ独立50周年式典には、マリナの長男であるケント公エドワードが、再びエリザベス2世の代理として出席しました。これは、母から子へと受け継がれる王室の絆を示すものでした。

また、1966年9月には、イギリス保護領ベチュアナランドがボツワナとして独立する際にも、ケント公爵夫人マリナが女王の代理として独立式典に出席しました。首都ハボローネにある公立病院は、彼女の名前を冠し「プリンセス・マリナ・ホスピタル」と命名され、彼女の功績を称えています。マリナは、1963年から亡くなる1968年までケント大学の初代総長を務めました。

死去

1968年8月27日、マリナは脳腫瘍のため、ケンジントン宮殿で息を引き取りました。彼女の生涯は、王室の一員としての責務を果たし、多くの人々に敬愛されるものでした。

マリナは、激動の時代を生きながらも、常に品格と優雅さを失わず、多くの人々に影響を与えました。彼女の公務への献身と、社会への貢献は、今もなお語り継がれています。彼女の人生は、王族としての義務と、一人の人間としての温かさを兼ね備えた、模範となるものでした。

関連項目

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