マリンエレクトロニクス

マリンエレクトロニクスとは

マリンエレクトロニクス（Marine electronics）は、船舶やヨットなど、海洋環境での使用を目的として設計された電子機器の総称です。これらの機器は、少量の海水でも故障や破損のリスクがあるため、特に耐水性や防水性に重点を置いて製造されています。一般的には「船舶用電子機器」とも呼ばれています。

主な船舶用電子機器

船舶用電子機器は、航海を安全かつ効率的に行うために不可欠なもので、以下のような多岐にわたる種類があります。

チャートプロッター: 海図を表示し、航路を計画・追跡する装置。
船舶用VHF無線機: 船舶間や陸上との通信に使用。
オートパイロット: 設定された針路を自動的に維持する装置。
セルフステア装置: 手動操舵を補助し、針路を維持。
魚群探知機およびソナー: 水中の魚群や海底の地形を検出。
船舶用レーダー: 周囲の船舶や障害物を検知。
GNSS（GPS）: 衛星を利用して位置を特定。
光ファイバージャイロコンパス（羅針盤）: 船舶の正確な方位を計測。
衛星テレビ: 船舶内でのテレビ視聴を可能にする。
船舶燃料管理装置: 燃料消費量を監視・管理。

通信規格

マリンエレクトロニクス機器間でのデータ通信には、特定の規格が用いられます。主な通信プロトコルには以下のようなものがあります。

NMEA 0183: シリアル通信ネットワークを利用した規格。
NMEA 2000: コントローラエリアネットワークを利用した規格。
Lightweight Ethernet（LWE）: 高速データ伝送が可能な規格。

国際電気標準会議（IEC）は、これらの規格を包括する新しい規格群「IEC 61162」を策定し、マリンエレクトロニクスの標準化を推進しています。

また、各メーカーは独自の通信プロトコルを採用している場合もあります。

マリンエレクトロニクス業界

マリンエレクトロニクス業界は、比較的小規模であり、一部のメーカーは商船向けの機器製造に特化しています。2015年の業界売上高は32億ドル（約4,222億円）でした。業界をリードする企業は以下の通りです。

1. 古野電気（日本）
2. ナビコ（ノルウェー）：B&G、ローレンス・エレクトロニクス、シムラッド、C-MAPなどが合併した持株会社。
3. 日本無線（日本）
4. ガーミン（アメリカ）：プレジャーボート部門に強みを持つ。
5. バルチラ（フィンランド）

その他、レイマリン（テレダイン・レクロイの子会社）、レイセオン・テクノロジーズ、ノースロップ・グラマンのマリンエレクトロニクス部門であるスペリー・マリーン、東京計器などが上位企業として挙げられます。

関連情報

IoT: モノのインターネット。
デジタルトランスフォーメーション（DX）: デジタル技術を活用した変革。

外部リンク

Maritime navigation and radiocommunication equipment and systems（英語） - 国際電気標準会議（IEC）
インターフェースに関連する規格（日本語） - 日本財団図書館
米国海洋電子機器協会（英語）

もう一度検索