マルカム4世 (スコットランド王)

マルカム4世の生涯

スコットランド王マルカム4世（Malcom IV）は、1142年3月20日に誕生し、1165年12月9日に亡くなるまでの間、1153年から1165年にわたって王位についていました。彼は、デイヴィッド1世の次男であるハンティンドン伯ヘンリーとサリー伯ウィリアム・ド・ワーレンの娘エイダの間に生まれた長男であり、兄にはウィリアム1世、またハンティンドン伯デイヴィッドがいます。マルカム4世は「未婚王（the Maiden）」としても知られています。

即位と初期の試練

彼が王位に就いたのは、祖父が亡くなった1153年のことでした。当時、マルカム4世はわずか11歳でした。彼の父が前年に亡くなっていたため、マルカム4世はこの若さでスコットランドの王としての責務を担うことになりました。即位早々、彼の治世は困難な状況に直面します。

まず、ノルウェー王エイステイン2世が北東部のアバディーンを攻撃し、同時に北部ハイランドの豪族たちも反乱を起こしました。さらにイングランド王ヘンリー2世もアクティブに動き出し、デイヴィッド1世によって奪われたイングランド北部の土地の返還を求めてきました。こうした圧力の中、マルカム4世は1157年にハンティンドン伯領と引き換えにノーサンバーランドやカンバーランド、ウェストモーランドの三州の領有権を放棄しました。

貴族たちとの対立

その後、1159年にはヘンリー2世のフランス・トゥールーズ伯領に対する遠征に参加し、彼の弟ウィリアムと共に騎士に叙任されました。しかし、地域の有力者であったウィリアムにとって、かつての領土がヘンリーに没収されたことは忘れがたい恨みであり、彼は領土の奪還に執念を燃やし続けました。これに対し、スコットランドの貴族たちは、マルカム4世のイングランドに対する姿勢を屈辱と受け取り、反発心から南西部のギャロウェイなどで反乱を起こしました。

対するマルカム4世は成長し、反乱に立ち向かう決意を固めました。1160年から1164年にかけて、彼は祖父の時代に登用されたノルマン人貴族に北部を討伐させ、ギャロウェイを併合することで豪族たちを制圧しました。こうした行動は、スコットランドの安定を図るための重要なものでしたが、政治的情勢は依然として不安定でした。

没落と王位の継承

しかし、1165年、健康を損ねたマルカム4世は23歳という若さでこの世を去ります。彼には独身で子がいなかったため、王位は弟のウィリアム1世が継ぐこととなりました。マルカム4世の短い治世は様々な試練に満ちており、彼がスコットランド史に残した影響は無視できないものです。その若き支配者としての経験は、彼の後の王位継承者にとって貴重な教訓となることでしょう。

参考文献

• - 森護『スコットランド王室史話』大修館書店、1988年。
• - 青山吉信編『世界歴史大系 イギリス史1 -先史～中世-』山川出版社、1991年。
• - ナイジェル・トランター著、杉本優訳『スコットランド物語』大修館書店、1997年。
• - 松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
• - 朝治啓三・渡辺節夫・加藤玄編著『中世英仏関係史1066-1500 ノルマン征服から百年戦争終結まで』創元社、2012年。

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