マルクール原子力地区

マルクール原子力地区は、フランス南東部のガール県、バニョール＝シュル＝セーズおよびシュスクランからコドレ付近に位置する核関連施設が集積した地区です。ローヌ川沿いに位置し、アヴィニョンから上流30km、モンテリマールから下流65km、ニームから北東45kmの地点に位置し、周囲にはワイン用のブドウ畑が広がっています。運営は、フランス原子力庁（CEA）の関連企業体であるアレヴァによって行われています。

歴史

マルクール地区は、元々原子爆弾製造に必要な研究施設として設立されました。CEAマルクールでは、初期の原子炉であるUNGG炉が建設されました。

発電用炉第1号機 G-1（5,000kW、1956年1月7日～1968年10月15日稼働）
プルトニウム抽出工場（UP1、1955年6月建設開始、1958年1月～1997年稼働）
発電用炉第2号機 G-2（1956年7月21日～1980年2月2日稼働）
発電用炉第3号機 G-3（1959年6月8日～1984年6月20日稼働）
セレスティンI炉（1967年5月15日稼働開始）：トリチウム生産

現在の施設

現在、マルクール地区では多岐にわたる核関連事業が展開されています。これらの事業はコジェマ（現アレヴァ）の下で、MOX燃料の生産、放射性廃棄物の管理、使用済み核燃料の保管などが行われています。

フェニックス：高速増殖炉の実験用原子炉
アタラント（Atalante）：高レベル放射性廃棄物管理に関する研究所
Melox：MOX燃料製造工場
* セントラコ：放射性廃棄物の処理・調整センター

軍事活動

1960年代後半には、マルクール地区の発電用炉とセレスティンI炉が稼働を開始し、アレヴァ（当初はコジェマ）は国防目的でトリチウムの生産を請け負いました。ここで製造されたトリチウムは、核弾頭や熱核弾頭、およびそれらの研究に使用されました。トリチウムは半減期が約12年と比較的短いため、核兵器に使用されているものは定期的な交換が必要です。

MOX燃料製造

1995年以降、MOX燃料の一種であるMeloxの少量生産が開始されました。使用済みプルトニウムの再利用を目的として、使用済み核燃料はラ・アーグ再処理工場に送られ、再処理されます。

事故

2011年9月12日には、セントラコで爆発事故が発生し、火災が発生しました。この事故により1人が死亡、4人が負傷しましたが、放射性物質の放出は確認されず、周辺地域への避難指示や外出規制は行われませんでした。

マルクール原子力地区は、フランスの原子力開発において重要な役割を果たしてきた施設であり、現在も様々な研究・産業活動が継続されています。

もう一度検索