マルコス・マイダナ

マルコス・マイダナ（Marcos Maidana）は、1983年 7月17日生まれ、アルゼンチンのサンタフェ州出身の元プロボクサーです。そのキャリアにおいて、WBA世界スーパーライト級レギュラー王者およびWBA世界ウェルター級王者となり、世界2階級制覇を達成しました。弟のファビアス・マイダナもまたプロボクサーです。

来歴

アマチュア時代

アマチュア時代には、国際的な舞台を経験しています。2003年にタイのバンコクで開催された世界ボクシング選手権にはライトウェルター級で出場しましたが、準々決勝で敗れました。また、2004年のアテネオリンピックアメリカ大陸予選にも参加しましたが、本選出場は叶いませんでした。アマチュアキャリアでは、後にプロで世界王者となる同国の強豪ルーカス・マティセーと4度対戦し、3勝0敗1引き分けと勝ち越しています。

プロキャリア

プロデビューとスーパーライト級での台頭

2004年6月12日、マイダナはプロデビューを果たし、初回50秒でのKO勝利という鮮烈なスタートを切りました。その後も勝利を重ね、2006年12月にはWBAフェデラテンスーパーライト級王座を獲得すると同時に、WBA世界スーパーライト級王座への挑戦権も手にしました。

初のチャンスは2009年2月、王者アンドレアス・コテルニクとの対戦でしたが、僅差の判定でキャリア初黒星を喫し、王座獲得に失敗しました。しかし、同年6月にはWBA世界スーパーライト級暫定王座決定戦でビクター・オルティスと対戦。この試合は両者ダウンを奪い合う壮絶な展開となりましたが、マイダナが6回TKOで大逆転勝利を収め、暫定王座を獲得しました。

暫定王座防衛と正規王座昇格

暫定王者として、ウィリアム・ゴンサレス、ビクトル・マヌエル・カージョ、デマーカス・コーリーといった相手に防衛を重ねました。特にカージョ戦では6回KO勝利、コーリー戦では判定ながら力の差を見せつけました。

2010年12月には、正規王者アミール・カーンとの団体内王座統一戦に臨みました。序盤にダウンを喫し、減点も受ける苦しい立ち上がりでしたが、中盤以降はカーンを追い詰め、激しい打ち合いを展開。しかし、前半の失点が響き、僅差の判定で敗れ、王座を陥落しました。

王座返り咲きとウェルター級転向

カーン戦での敗北から立ち直り、2011年4月には元3階級制覇王者のエリック・モラレスとWBA世界スーパーライト級暫定王座決定戦で対戦。ベテランのモラレスとの激しい打ち合いを制し、2-0の判定で勝利して暫定王座に返り咲きました。同年7月には、カーンがスーパー王座に昇格したことに伴い、暫定王者からレギュラー王者へ昇格。9月にはピーター・ペトロフ相手に初回防衛に成功しました。

2012年2月には、ウェルター級契約でデボン・アレクサンダーと対戦しましたが、判定で敗れました。これを機にウェルター級への本格転向を決め、WBA世界スーパーライト級レギュラー王座を返上しました。

ウェルター級での栄光

ウェルター級転向後、地域タイトルを獲得するなど順調に階級に馴染んでいきました。特に2013年6月のホセシート・ロペス戦では、苦戦しながらも得意の強打で6回TKO勝利を収めました。

そして2013年12月14日、無敗のWBA世界ウェルター級王者エイドリアン・ブローナーに挑戦しました。ブローナー有利の声が多い中、マイダナは開始早々から積極的に攻め込み、2度もダウンを奪うなど試合を支配。圧倒的な差をつける3-0の判定勝利で王座を獲得し、2階級制覇を達成しました。この勝利は、その年のリングマガジン誌が選ぶ「アップセット・オブ・ザ・イヤー」に輝くなど、ボクシング界に大きな衝撃を与えました。

メイウェザーとのビッグマッチ

ブローナー戦での勝利により評価を大きく高めたマイダナは、ボクシング界のスーパースター、フロイド・メイウェザー・ジュニアとの対戦が実現します。2014年5月、WBA・WBC世界ウェルター級王座統一戦に臨みましたが、メイウェザーの巧みなボクシングに苦戦し、判定で敗れました。同年9月には、メイウェザーと異例のダイレクトリマッチが行われましたが、ここでも判定で敗れ、雪辱を果たすことはできませんでした。

引退

メイウェザーとの再戦後、マイダナはしばらくリングから離れ、現役引退を示唆するようになります。そして2016年8月9日、モチベーションの低下を理由に正式に現役引退を発表しました。

引退後、エキシビションマッチの話もありましたが、実現には至っていません。

戦績

プロボクシング: 40戦 35勝 (31KO) 5敗

主な獲得タイトル

WBA世界スーパーライト級暫定王座
WBA世界スーパーライト級レギュラー王座
WBA世界ウェルター級王座

表彰

* 2013年度リングマガジンアップセット・オブ・ザ・イヤー（エイドリアン・ブローナー戦）

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