マルス3号

マルス3号の概要

マルス3号（Mars 3）は、1960年代から1970年代にかけてソビエト連邦が推進したマルス計画の一環として打ち上げられた無人の火星探査機です。1971年5月28日に打ち上げられ、同年12月には火星表面への軟着陸を果たしました。これにより、マルス3号は火星に着陸した最初の探査機となりました。

仕様と打ち上げ

マルス3号はマルス2号と同じ設計を採用しており、オービターとランダーの二つの構成要素から成り立っています。打ち上げの際には、プロトンKロケットのブロックD上段ステージに搭載されました。探査機の総質量は4,650kgで、そのうちオービターが3,440kg、ランダーは1,210kgでした。

打上げ日時: 1971年5月28日 15時26分30秒（UTC）
大きさ: 高さ4.1m、幅2m（太陽電池展開時には5.9m）

オービター

オービターは、計画された25時間の軌道に入ることができず、長周期の離心率の大きい軌道に変更されました。それでも、1971年12月から1972年3月にかけて、多くのデータを地球へと送信し、最終的には火星を約20周したのち、1972年8月22日にミッションを終了しました。

ランダー

1971年12月2日、マルス3号の降下モジュールが火星の大気圏に突入しました。降下モジュールは、火星において南緯45°と西経158°の地点に成功裏に着陸しましたが、その後、データの送信が突如として停止しました。原因は明らかではなく、強力な火星の嵐の影響による通信の障害が疑われています。

実際に伝送されたのは、わずか70走査線の断片的な画像のみで、地平線と暗い空を写したものであり、完全な科学データを得ることはできませんでした。

ランダーの再発見

マルス3号の名声は、2013年に新たな発見を伴って再燃しました。その年、NASAの火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービター（MRO）がマルス3号の着陸地点周辺の画像を撮影し、その中にマルス3号のランダーと思われる物体を確認しました。この発見は、以前に発見された2007年の画像を詳細に調査した結果に基づいています。これらの画像には、ランダーやその構成要素と思われる物体が写っており、サイズや形状がマルス3号と一致するとされています。しかし、検証が完全ではないため、確証には至っていないのが現状です。

結論

マルス3号は、ソビエト連邦の火星探査の第一歩であり、重要な科学的データを期待されましたが、最終的に多くの期待には応えられなかったものの、その歴史的意義は色あせるものではありません。今日でも、火星への探査活動が進む中で、マルス3号の成果や教訓は、宇宙科学の発展において重要な役割を果たしています。

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