マルバウマノスズクサ

マルバウマノスズクサ（Aristolochia contorta）

マルバウマノスズクサは、ウマノスズクサ科に属する多年生のつる草で、その美しい花と独特な形状が特徴です。主に日本本州の日本海側を中心に、朝鮮半島や中国、さらにベトナムまで広がる分布を持ちます。地上部は冬になると枯れますが、春には新しい生命を取り戻します。全体は無毛で、茎は長く最大で3メートル以上に成長することもあります。

特徴

この植物の葉は互生し、その形は円心形から卵状三角形であり、薄くふんわりとした質感を持っています。サイズは3〜13センチメートルあり、それに対して幅は3〜10センチメートルです。葉の先端は円形から鈍角で、基部は心形をしています。葉柄は2〜7センチメートルの長さがあります。

花は7月から8月にかけて開花し、葉腋に2〜8個が集まってつきます。花柄の長さは1〜3センチメートルで、花被は筒状の萼を成しています。花筒は細長く、2〜3センチメートルの長さで、上方にやや湾曲しています。基部部分は球形に膨らみ、先端は糸状に伸びています。花筒内の面には逆毛がありますが、後に脱落します。通常、花筒は黄緑色で、時には褐色を帯びることもあります。

果実は倒卵状で、長さは3〜7センチメートルの蒴果です。果実は基部から6裂し、心状三角形の種子を持っており、平らで膜状の翼があります。染色体数は2n = 14、非常に興味深い書誌情報です。

分布と生態

日本では、マルバウマノスズクサは山形県から島根県にかけて、日本海側の地域や群馬県、長野県にも広がっていますが、全体的に個体数は減少傾向にあります。明るい林縁などに生育し、他の植物との共生を図る一方で、環境の変化に敏感な性質を持っています。

保全状況

2023年現在、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されており、その数は徐々に少なくなっています。都道府県単位でも様々な危急度が示されており、山形県や群馬県、新潟県などでは絶滅危惧I類に指定されています。長野県や鳥取県では絶滅危惧II類に、また富山県では情報不足とされています。

人間との関わり

マルバウマノスズクサの果実は「馬兜鈴」と呼ばれ、根は「青木香」として知られています。これらは伝統的な生薬として用いられ、咳や痰、さらに虫毒や下痢の治療に利用されることがあります。しかし、含まれるアリストロキア酸は重篤な腎障害を引き起こす可能性があるため、使用には注意が必要です。

分類

この植物は草本性のつる草であり、ウマノスズクサ亜属に分類されます。同じ属のウマノスズクサ（Aristolochia debilis）と類似しているものの、葉の形状や花のつき方に違いがあります。日本では、宮古諸島や尖閣諸島のコウシュンウマノスズクサも関連します。

マルバウマノスズクサはその美しさと独自の生態系で注目されていますが、絶滅危惧種としての現状は、私たちが自然環境を守るために行動する必要があることを示しています。

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