マルバーンヒルの戦い

マルバーンヒルの戦い：七日間の戦いの終焉

マルバーンヒルの戦いは、1862年7月1日にバージニア州ヘンライコ郡で発生した、南北戦争における七日間の戦いの6番目にして最後の戦闘です。この戦いでは、南軍のロバート・E・リー将軍が、難攻不落とされた北軍の陣地に対して幾度も攻撃を仕掛けましたが、大きな損失を出し、北軍の前進を許しませんでした。

戦闘の背景

七日間の戦いの終盤、北軍は初めて有利な陣地を確保しました。それまでの6日間、ジョージ・マクレラン少将率いる北軍ポトマック軍はジェームズ川に向かって後退を続け、ロバート・E・リー将軍率いる南軍北バージニア軍がそれを追撃していました。この時点まで両軍はほぼ互角の戦いを繰り広げていましたが、マクレランはリーの積極的な姿勢に動揺し、戦力で劣勢だと錯覚していました。

マルバーンヒルは、見晴らしが良く、前日にフィッツ・ジョン・ポーター准将の第5軍団が砲兵陣地を築いていました。マクレランは戦場にはおらず、ハリソンズランディングに部隊を進めていたため、ポーターが軍団の指揮官として最高位の責任者でした。陣地前の斜面は伐採されており、見通しが良く、北に広がる平原には、マクレランの砲兵隊長であるヘンリー・J・ハント大佐が配置した250門の大砲による猛爆が加えられる状態でした。

ポトマック軍は、丘全体を占領していましたが、第4軍団のサイラス・ケイシー師団はハリソンズランディングに進んでおり、戦闘時でも北軍の最右翼を形成していました。北軍の戦線は、ハリソンズランディングの最右翼から、ポーター軍団のジョージ・W・モレル准将師団の最左翼まで、大きな半円形を描いていました。モレル隊の右隣には、第4軍団から派遣されたダライアス・コウチ准将の師団が位置し、北軍陣地の中央部を占めました。コウチは独立して指揮を執ることを許されました。コウチ隊の右には、サミュエル・P・ハインツェルマン准将の第3軍団の師団が続き、その右にはエドウィン・V・サムナー准将の第2軍団が配置され、ハリソンズランディングまで戦線が伸びていました。

リーの作戦と戦闘の経過

リーは、この難攻不落な陣地に対して、側面に回り込むのではなく、正面攻撃を仕掛けることを選択しました。彼は、砲撃で道を開き、歩兵の突撃を成功させようとしましたが、それはゲティスバーグの戦いでのピケットの突撃と同様に誤算でした。リーはまた、自軍が連日の激戦と行軍にもかかわらず、北軍よりも優れた戦力を持っていると信じていました。彼の作戦は、ストーンウォール・ジャクソン、リチャード・イーウェル、D・H・ヒル各少将とウィリアム・H・C・ホワイティング准将の師団をクエーカー道路沿いに進撃させるというものでした。

しかし、リーの複雑な作戦は、実行段階でうまくいきませんでした。兵士たちはぬかるんだ道路や不正確な地図に苦しみ、ジャクソン隊は湿地帯に阻まれました。マグルーダー隊は誤った道に案内され、戦場から離れた場所に到着しました。最終的に、フーガー師団が右翼に、D・H・ヒル師団が左翼に展開し、南軍は砲撃開始を待機しました。

しかし、北軍のヘンリー・ハントが先に砲撃を開始し、午後1時半から2時半まで、戦争最大級の集中砲火を行いました。北軍の砲手は優れた武器と熟練度で、南軍の大砲をほとんど使用不能にしました。それでもリーは、午後3時半に歩兵に前進を命じ、アーミステッドの旅団は北軍の狙撃兵線を突破しましたが、午後4時までに到着したマグルーダー隊による攻撃は、連携が取れていませんでした。D・H・ヒルはクエーカー道路に沿って進撃しましたが、北軍の中央部から200ヤード (180 m)までしか近づけず、大きな損害を出し、夜の訪れとともに撃退されました。

戦闘の結果とその後

D・H・ヒルは後に、「これは戦争では無かった。殺人だった」と記したように、南軍はこの損耗戦で5,355名の損失を出しました。北軍の損失は3,214名でした。南軍はその後も北軍を追撃しましたが、マルバーンヒルでの戦いで、半島方面作戦は事実上終了しました。北軍がリッチモンドへの脅威を放棄したことで、リーはラピダン川沿いの北軍ジョン・ポープの軍隊に対抗するためにジャクソンを派遣し、北バージニア方面作戦が開始されることになりました。

マルバーンヒルの戦いは、南北戦争における重要な転換点の一つであり、両軍の戦術と兵站の限界を露呈させた戦いでもありました。

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