マルマライトンネル

マルマライトンネル

マルマライトンネルは、トルコのイスタンブールに位置する重要な鉄道トンネルです。このトンネルはボスポラス海峡の下を横断し、ヨーロッパのゼイティンブルヌ地区カズルチェシメからアジア側のアイルルクチェシメへと続きます。全長は13.5 km（8.4 mi）に及び、2本の単線トンネルで成り立っており、3つの地下駅（イェニカプ、シルケジ、ユスキュダル）が設けられています。

このトンネルの旅客営業は2013年10月29日に開始され、その後、2019年3月には地上部分が完成し、通勤列車や高速鉄道（YHT）、貨物列車の運行が可能となりました。特にマルマライトンネルは、沈埋トンネルとしては世界一深いところに位置しており、水面下に60mが埋設されています。

歴史背景

マルマライトンネルの建設の始まりは、1860年まで遡ります。当時のスルタン・アブデュルメジト1世が海峡下を通る交通機関の提案を行いました。その後、1892年にフランス人技術者によるトンネル計画が発表されましたが、実現には至りませんでした。

近代的なトンネルの計画は1997年にようやく始まりました。これには10年前の実現可能性調査が基礎となっています。1999年には資金が確保され、2001年には建設準備が開始され、2004年に正式に工事がスタートしました。トンネルは日本の大成建設による日本・トルコの共同企業体によって建設されたもので、2008年10月20日に完成し、2009年には線路の敷設が完了しました。しかし、考古学的な発見により、事業の竣工は延期されました。

試運転は2013年8月6日にスタートし、10月29日には正式に開業となり、ユスキュダル駅にて記念式典が行われました。

運行と運営

マルマライトンネルはトルコ国鉄が管理しており、TCDD Taşımacılık社が列車を運行しています。電化方式は交流25 kV・50 Hz・架空電車線方式が採用されています。トンネルの西側にはヨーロッパのカズルチェシメがあり、トンネルに入るための2本の線路とシルケジ駅へ続く線路が存在します。一方、東側にはアジア側のアイルルクチェシメがあり、この駅を出るとイスタンブール＝アンカラ鉄道と合流します。

2017年11月時点では、カズルチェシメとアイルルク・チェシメシ間で164往復の列車が運行されており、ピーク時には5分間隔で、その他の時間帯は10～15分おきに運行されています。これにより、毎日328本の列車がトンネルを通過することになります。

工学技術の特徴

マルマライトンネルは世界最深の沈埋トンネルであり、ボスポラス海峡の水面下60mで供用されています。この深さは、合計1,387 mに及び、ボスポラス海峡の海底を11の区画に分けて埋設されています。

トンネル建設に際しては、まず海底の一部を強化する必要があり、4～10mのコンクリート柱が埋め込まれて安定を図りました。トンネルの施工はトゥズラのドッグで行われ、ビュユカダ島沖でテストが実施されました。トンネルは沈埋後、盛り土で覆われ、排水を行ってから封印されました。また、地下のトンネル工事にはトンネルボーリングマシン（TBM）が使用され、歩道を含む2本の単線トンネルが掘られました。

マルマライトンネルはイスタンブールの交通を劇的に変える存在であり、その建設には多くの計画と技術が注がれてきたことが窺えます。

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