シルケジ駅

イスタンブール・シルケジ駅：歴史と現代が交差する交通の要衝

イスタンブール中心部のファーティフ地区に位置するシルケジ駅は、トルコ国鉄（TCDD）とイスタンブールトラム（İETT）の2路線が乗り入れる重要な交通拠点です。マルマライが開通する以前は、ヨーロッパ側におけるトルコ国鉄のターミナル駅として、国内外を結ぶ数多くの列車が発着していました。オリエント急行の終着駅として知られ、その歴史的建造物と近代的な地下駅施設の融合は、この駅を独特の魅力ある場所としています。

歴史：オスマン帝国から現代へ

シルケジ駅の建設は、クリミア戦争後のオスマン帝国が鉄道網整備に乗り出したことに端を発します。当初はイギリスやベルギーの事業者との契約が成立せず、紆余曲折を経て、1869年にベルギーの銀行家モーリツ・フォン・ヒルシュが建設免許を取得しました。1870年代初頭にはイスタンブールとハルカル間を結ぶ路線が開通し、その後、商業地区へのアクセスを良くするため、現在のシルケジ駅へと延伸されました。1888年から始まった新駅舎の建設は1890年に完成し、オリエント急行の終着駅として賑わいをみせることになります。この駅舎は、ヨーロッパ・オリエンタリズム様式を代表する建築物として、現在も保存されています。駅舎内のレストランは、かつては著名な知識人たちの社交場として利用され、現在も「Orient Express」として旅行者に人気です。
2013年のマルマライ開通により、アジア側へのアクセスが容易になり、駅の機能はさらに強化されました。地下には広大な地下駅施設が建設され、トルコ国内で最も深い駅となっています。61メートルにも及ぶエスカレーターは、その規模の大きさを物語っています。

駅構造と周辺環境

シルケジ駅は、地上と地下の2つの駅施設から成り立っています。地上駅はイスタンブールトラムの駅として機能し、地上ホームと島式ホームを備えています。一方、地下駅はマルマライの駅として、広大な地下空間と島式ホームを有し、トルコ国内で最も深い駅として知られています。

駅周辺には、イスタンブール鉄道博物館、イスタンブール中央郵便局、シルケジ公園など、多くの観光スポットがあります。また、トプカプ宮殿、アヤソフィア、イスタンブール考古学博物館といった歴史的建造物にも容易にアクセスできます。これらの観光名所へのアクセスを考慮しても、シルケジ駅はイスタンブール観光の拠点として非常に便利な場所です。さらに、バス、トラム、フェリーなどの他の公共交通機関とも接続しており、イスタンブール市内を効率的に移動することができます。

文化とイベント

駅舎内では、メヴレヴィー教団によるセマー（旋回舞踊）が週3回行われ、観光客は観覧料を支払って鑑賞することができます。また、駅舎内には鉄道博物館があり、無料で入場することができます。（祝祭日を除く火曜日～土曜日）。これらは、シルケジ駅が単なる交通拠点ではなく、文化に触れ合える場所でもあることを示しています。

まとめ

シルケジ駅は、歴史と現代が融合した、イスタンブールを代表する駅です。オリエント急行の終着駅として栄えた歴史的建造物と、近代的な地下駅施設の両方を有し、周辺には多くの観光名所が点在しています。イスタンブールを訪れる際には、ぜひシルケジ駅を訪れて、その歴史と魅力に触れてみてください。マルマライやトラムなど公共交通機関との接続も良好なため、イスタンブール観光の拠点として最適な場所と言えるでしょう。

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