マレーヴ・ハンガリー航空

マレーヴ・ハンガリー航空

マレーヴ・ハンガリー航空（Malév）は、ハンガリーのブダペストを本拠地とした航空会社でした。この会社は、ハンガリーの「フラッグキャリア」に位置づけられ、定期便を運航していましたが、2012年に経営不振に陥り、最終的には破産宣告を受けて消滅しました。

会社の歴史

マレーヴの起源は、オーストリア・ハンガリー帝国時代の1910年に遡ります。しかし、民間航空は第二次世界大戦によって中断されました。戦後の1946年、ハンガリー・ソヴィエト民間航空輸送合弁持株会社（Magyar–Szovjet Polgári Légiforgalmi Rt.）として新たに設立され、1956年にはハンガリー政府がその全株式を取得し、現在のマレーヴ・ハンガリー航空が誕生しました。

以来、政府が大部分の株式を所有する国営航空として運航していました。2007年には、国際航空連合の一つである「ワンワールド」に正式に加入し、運航の質を高めるために国際的なネットワークを構築していきました。

しかし、その後経営状況は悪化し、特に2010年度には246億フォリント（約850億円）の赤字を記録しました。2012年には負債が600億フォリント（約207億円）に達しました。ハンガリー政府は破産回避を図るための支援策を検討しましたが、欧州連合（EU）の規制により、追加の公的支援が禁止されました。取引先からは前払いを求められるなど、資金繰りが悪化します。

2012年2月3日にはすべての運航を停止し、同年2月14日にはブダペスト首都裁判所から破産宣告と会社清算命令を受け、実質的に倒産が決定しました。ワンワールドからも脱退し、その後ハンガリーのフラッグキャリアは姿を消しました。

現在の状況

ハンガリー国内の航空業界において、マレーヴ・ハンガリー航空の倒産は大きな影響を及ぼしました。その後、格安航空会社であるウィズエアー（Wizz Air）が残された国内唯一の定期旅客便運航会社となり、ハンガリーの空の便を支えています。

運航路線

マレーヴは主に、ハンガリーの首都であるブダペストのフェレンツ・リスト国際空港を拠点に、欧州各地への路線を展開していました。冬季運航を含むと、34ヶ国50都市に至る航空路線が存在しました。特に、春から秋にかけてはバラトン湖の近くにあるシャールメッレーク国際空港からドイツのベルリンおよびシュトゥットガルトへの便が運航されていました。しかし、この空港とブダペストの空港間を結ぶ路線は設定されておらず、全ての航空路線が国際便として運航されていました。過去には日本への定期便も計画されましたが、頻繁なチャーター便での運航が主でした。

保有機材

2010年の段階で、マレーヴ・ハンガリー航空は以下の機材を保有していました：

• - ボーイング737-600型機：6機
• - ボーイング737-700型機：7機
• - ボーイング737-800型機：5機
• - ボンバルディアQ400：4機

過去には全ての機材がソ連製で、最初のジェット機としては1968年にツポレフTu-134型機が導入されました。1988年には初めてアメリカ製のボーイング737-200が導入され、2001年までにはさらに多くのボーイング機材が運航されるようになりました。最終的に、ソ連製機材は全て退役し、マレーヴは西側の航空機を中心とした運航体制を築いていました。

マレーヴ・ハンガリー航空はハンガリーの航空史において重要な役割を果たしましたが、経営の厳しさが重荷となり、その歴史は幕を閉じることとなりました。

もう一度検索