マンガゼヤ

マンガゼヤ：シベリアの交易拠点の歴史

マンガゼヤ（Мангазея, Mangazeya）は、シベリア北西部、特にヤマル半島のオビ湾西岸に位置した歴史的な町です。この地は、タズ川の近くに位置し、オビ川やエニセイ川と連結していました。16世紀から17世紀にかけて、マンガゼヤは白海沿岸のアルハンゲリスクなどと盛んな交易を行い、栄えたことが知られています。

歴史的背景

マンガゼヤの起源は、12世紀に遡ります。当時、ロシアのポモール（白海沿岸に住むロシア人）たちは、スカンジナビア半島との海上交易路を開拓し、ノルウェー、イングランド、オランダの商人たちと交易を行っていました。彼らはまた、東側のシベリア沿岸を探索し、オビ湾に入植地を築いていました。この入植地は、シベリアの毛皮やセイウチの牙を集めるための重要な拠点となり、短い夏の間に集めた商品をアルハンゲリスクへと出荷していました。アルハンゲリスクでは、西洋の商人たちにこれらの商品が売られていました。

しかし、1619年、ロマノフ朝はマンガゼヤ航路の航行を禁じ、その違反者には死刑を科すという厳しい方針を打ち出しました。この背景には、中央政府がマンガゼヤ航路から徴税できなかったことや、イングランド商人がこの航路を利用してシベリアに進出するリスクがあったためです。当時、中国への北東航路を探していたイングランドやオランダの探検者は、マンガゼヤ航路の禁止によって探索が困難になりました。

マンガゼヤはその後、約50年の間に存続しましたが、次第に衰退が進みました。1642年には2度目の大火が発生し、残っていた住民たちはエニセイ川とニジニャヤ・ツングースカ川の合流地点に新たにノヴァヤ・マンガゼヤを築くこととなりました。この新たな町は1780年代以降「トゥルハンスク」と呼ばれるようになりました。ロシアの大公アレクセイ・ミハイロヴィチの命令により、1672年には元のマンガゼヤは完全に放棄されました。

終焉と考古学的調査

元のマンガゼヤの町や、その周囲のポモール商人が開拓した北極海の航路は、20世紀に入るまで忘れ去られていました。しかし、20世紀になってから考古学的調査が行われ、マンガゼヤの跡地から城塞や屋内市場（ガスチーヌイ・ドヴォール）の遺構が発見されました。これにより、この地がかつて重要な交易拠点であったことが再認識され、歴史的な価値が見直されています。

マンガゼヤは、シベリアの歴史における重要な側面を示す場所であり、交易とその影響を考察する上で欠かせないスポットです。

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