マンチェスター (クリーブランド級軽巡洋艦)

USSマンチェスター (CL-83) の艦歴

USSマンチェスター（CL-83）は、アメリカ海軍のクリーブランド級軽巡洋艦の一隻であり、ニューハンプシャー州マンチェスターにちなんで命名されました。1944年9月25日に起工し、1946年3月5日に進水、同年10月29日に就役しました。

地中海での活動

カリブ海での整調後、1947年3月26日にボストンに帰還。実験的なプラスチックカバーを艦橋に装着し、初の大西洋横断に挑みました。4月18日には地中海へ向け出港し、トルーマン・ドクトリンに基づき共産主義勢力への示威行動を実施。その後、東海岸での訓練や地中海への再派遣を経て、1949年3月18日に太平洋艦隊へ合流しました。

極東での活動

1949年4月3日、カリフォルニア州ロングビーチに到着。その後、政治的に不安定な極東へ派遣され、中国の青島に入港。黄海、東シナ海、南シナ海で活動に従事しました。この時期、中国では国共内戦が激化し、中華人民共和国が成立するなどの大きな変動がありました。

朝鮮戦争での活躍

1950年6月25日、朝鮮戦争が勃発すると、マンチェスターは急遽オーバーホールを終え、8月1日に西太平洋へ出航。9月上旬には佐世保に到着し、第77任務部隊に加わりました。仁川上陸作戦では火力支援を担当し、北朝鮮軍の補給路遮断に貢献。その後、元山への侵攻支援や、鴨緑江近くでの作戦にも参加。中国軍の介入後も、友軍の脱出支援のため興南へ向かいました。

1951年1月8日には、座礁したタイ海軍のコルベット「プラセー」の乗組員を救助しました。その後も朝鮮半島東岸での哨戒や艦砲射撃を行い、敵の拠点を攻撃しました。1951年6月1日には韓国海域を離れ、一旦帰国。同年11月5日に再び極東へ派遣され、海上封鎖と護衛任務に従事しました。この時期、朝鮮戦争は小規模な戦闘に移行し、マンチェスターは敵の補給路攻撃や友軍機パイロットの救助活動を行いました。

1953年1月25日には三度朝鮮海域へ出航し、3月8日に元山での砲撃を再開。その後も国連軍への火力支援を続け、7月23日に韓国を離れました。7月27日に休戦協定が成立し、マンチェスターは母港へ帰還しました。

戦後

1954年から1955年にかけて、マンチェスターは太平洋西部で二度の配備を行いました。最後の帰国航海では、朝鮮戦争で亡くなった身元不明のアメリカ兵をハワイへ輸送する「グローリー作戦」に従事しました。1956年1月20日に横須賀を出航し、2月5日にロングビーチに到着。その後、予備役艦隊入りし、1960年4月1日に除籍、同年10月31日に売却されました。

マンチェスターは、朝鮮戦争での功績により9個の従軍星章を受章しました。また、朝鮮戦争中には、後にケネディ政権下で国家安全保障局局長を務めたローレンス・ヒュー・フロストが艦長として指揮を執りました。



マンチェスターは、冷戦期におけるアメリカ海軍の重要な一翼を担い、数々の困難な任務を遂行した、まさに歴史に残る艦艇と言えるでしょう。

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