マーカス・スティーブン

マーカス・スティーブン：スポーツ界の英雄からナウルのリーダーへ

マーカス・スティーブン（Marcus Stephen, 1969年10月1日 - ）は、ナウルの政治家であり、第27代大統領を務めた人物です。彼はまた、かつて世界的な重量挙げ選手として国際舞台で活躍したことでも知られています。

スポーツ選手としての輝かしい経歴

当初、スティーブンはオージーフットボールのローカルチームで才能を発揮していましたが、後に重量挙げの道へと進みました。1989年にナウルウエイトリフティング協会（NWF）が設立されると、当時ナウルで唯一のトップレベルの重量挙げ選手であった彼に、国際的な舞台で競う機会が与えられました。

1992年のバルセロナオリンピックには、当時のナウルにはオリンピック委員会がなかったため、サモアの市民権を取得し、サモア代表として出場しました。1993年にナウルオリンピック委員会が設立されたことで、スティーブンはアトランタオリンピックとシドニーオリンピックに、念願のナウル代表として参加を果たしました。

シドニーオリンピックでは、ナウル国内で聖火ランナーを務めるという栄誉にも浴しました。

特にコモンウェルスゲームズでの活躍は目覚ましく、1990年大会の60kg級では金メダルを獲得。1994年大会の59kg級、1998年大会の62kg級では、それぞれ3つの金メダルを獲得しました。2002年大会では、62kg級で3つの銀メダルを獲得し、選手としてのキャリアを締めくくりました。

政治家としての道のり

1997年以降は、ナウルオリンピック委員会で会計の業務を担当。2003年5月3日には、エウァ地区およびアネタン地区で215票以上を獲得し、ナウル議会に初当選しました。

レネ・ハリス大統領政権下の2003年8月8日から2004年6月22日までは、文部大臣と大蔵大臣を兼任しましたが、ルドウィグ・スコッティの大統領就任と同時に解任されました。2004年10月には、再び議会に再選されています。

2005年6月15日にナウルが国際捕鯨委員会（IWC）に加盟すると、スティーブンはナウル代表候補となり、同月に韓国の蔚山で開催されたIWC会議にナウル代表として参加しました。

2007年8月の選挙でも再選を果たし、8月28日にはスコッティ大統領に対する不信任案が提出された際、大統領候補として名乗りを上げましたが、不信任案は否決され、スコッティが再選されました。しかし、同年12月19日にスコッティ大統領に対する不信任案が可決された後、スティーブンはナウル大統領として宣誓就任しました。

大統領としての挑戦

38歳で大統領に就任したスティーブンは、閣僚の大幅な若返りを図り、国民から一定の評価を得ました。しかし、スコッティ前大統領の時代から始まった、直接選挙による大統領選出を実現するための憲法改正協議は、議会の抵抗に遭い、実現には至りませんでした。

2008年3月には、不信任案が議会に提出され、議長の辞任によって廃案となりましたが、国内では警察署が放火されるなど、暴動が発生する事態にまで発展しました。

2011年11月10日、野党から汚職疑惑を追及される中で大統領職を辞任。リン酸取引で不正に利益を得ようとしたとして非難されましたが、本人はこれを全面的に否定しました。大統領職は辞任したものの、国会議員としては引き続き活動を続けました。

参考文献

『鉄挙げはナウル共和国で』 くぼたひでとし（著） 文芸社ビジュアルアート（2006/11）

外部リンク

マーカス・スティーブン - Olympedia（英語）

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