マーガレット (スノードン伯爵夫人)

プリンセス・マーガレット：王室の反逆児の生涯

プリンセス・マーガレットは、イギリス国王ジョージ6世とエリザベス王太后の次女として、1930年に生まれました。姉は後にエリザベス2世となる王位継承者です。裕福で恵まれた環境で育ちましたが、王室の厳格な規律と、常に姉の影に隠れる立場に、彼女自身は葛藤を抱えていたようです。第二次世界大戦中は、姉と共に田舎で疎開生活を送りました。

タウンゼント大佐との禁断の恋

マーガレット王女の人生を語る上で欠かせないのが、ピーター・タウンゼント大佐との恋愛です。1944年、侍従武官として宮殿に赴任したタウンゼント大佐と出会った王女は、彼に深く恋心を抱きます。しかし、この恋は大きな障害に直面しました。タウンゼント大佐は離婚歴があり、しかも王女より16歳年上だったのです。

王室と政府は、エドワード8世の退位という暗い過去を繰り返さないため、この結婚に猛反対しました。王族としての地位、そして何よりも王位継承権を剥奪する、という厳しい条件が突きつけられたのです。エリザベス2世も、二人の結婚を望んではいなかったとされています。強い反対に遭い、最終的に王女はタウンゼント大佐との別れを決意しました。この決断は、王女の生涯に大きな影を落とすことになります。

写真家との結婚と離婚

タウンゼント大佐との別れの後、マーガレット王女は写真家のアンソニー・アームストロング＝ジョーンズと結婚します。結婚後、彼女はスノードン伯爵夫人となり、二人の間に息子と娘が生まれました。しかし、この結婚生活も長くは続きませんでした。夫の浮気や乱れた私生活に悩まされ、1978年に離婚することになります。

離婚後は、マーガレット王女はさらに奔放な生活を送るようになりました。様々な男性との噂が絶えず、ゴシップ誌を賑わせました。それでも彼女は、晩年には芸術文化活動に積極的に関わり、ロイヤル・バレエ団の後援などを通して、社会貢献を果たしました。ダイアナ妃とも親しい関係を築いていましたが、ダイアナ妃のインタビュー放送をきっかけに、両者の関係は破綻したとされています。

晩年と死

晩年には脳卒中を患い、車椅子生活を送るようになりました。1997年にはダイアナ妃の葬儀にも参列しましたが、その際の言動がマスコミによって批判的に報道されました。2002年、71歳で亡くなりました。その死は、母であるエリザベス王太后にも大きな衝撃を与え、王太后は3ヶ月後に亡くなっています。

マーガレット王女：王室と個人の狭間で

マーガレット王女の人生は、王室の伝統と個人の自由の狭間で揺れ動いた、ドラマチックなものでした。彼女は、王室のしきたりに縛られながらも、自由な恋愛や生活を求め、時に社会の反発を招きながら、自分らしい生き方を貫こうとしました。彼女の生き様は、現代においても、王室制度や個人の自由、そして女性としての生き方について、多くの議論を呼び起こしています。彼女の複雑で魅力的な人生は、これからも多くの人々を惹きつけ続けるでしょう。

参考文献

Lacey, Robert (2002). Royal: Her Majesty Queen Elizabeth II. London: Little, Brown. ISBN 0-316-85940-0
マリオン・クローフォード『王女物語　エリザベスとマーガレット』中村妙子訳、みすず書房、2020年
* アン・グレンコナー『マーガレット王女とわたし　イギリス王室のおそばで歩んだ女官の人生』立石光子訳、白水社、2022年

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