マーキュリー・ミラン

マーキュリー・ミラン（MILAN）

マーキュリー・ミランは、アメリカの自動車メーカーであるフォードが製造し、傘下のマーキュリーブランドから販売されていた中型普通乗用車です。

概要

このモデルは、2005年2月に開催されたシカゴオートショーで初めてその姿を現し、同年の10月から正式に販売が開始されました。かつて販売されていたミスティークの後継モデルとして市場に投入されたミランは、販売実績の低迷に悩んだミスティークの雪辱を果たすべく開発されました。

車両の基盤には、開発の一部をマツダが担当したフォードのCD3プラットフォームが採用されています。これは、姉妹車にあたるフォード・フュージョンと共通のプラットフォームです。ミランは、このフュージョンに対してより上級な位置付けとされつつも、マーキュリーブランドの中では最も手頃なエントリーモデルという役割を担っていました。

デザイン面では、姉妹車フュージョンとの差別化が図られています。特に、ヘッドライトやテールランプのデザインはフュージョンとは異なり、マーキュリーブランドが想定する顧客層の嗜好に合わせて、落ち着いた雰囲気を持ったスタイルが特徴です。パワートレインについては、ベースとなったフュージョンと同様のエンジンが搭載されました。具体的には、2300ccの直列4気筒DOHCエンジンと、3000ccのV型6気筒DOHCエンジンの2種類がラインナップされました。トランスミッションの選択肢としては、直列4気筒モデルには5速のマニュアルトランスミッションと5速のオートマチックトランスミッションが設定され、一方のV型6気筒モデルは6速のオートマチックトランスミッションのみが組み合わされました。

マイナーチェンジ

2008年12月、ロサンゼルスオートショーにおいて2010年モデルとしてマイナーチェンジ版が発表されました。この改良では、内外装およびメカニズムの各所に変更が加えられました。

主な改良点は以下の通りです。

車両の前後デザインの刷新
インストルメントパネル（インパネ）デザインの変更
直列4気筒エンジンの排気量を2500ccに拡大
全てのグレードに6速オートマチックトランスミッションを採用
* ハイブリッドシステム搭載モデルの追加

特に注目されたのは、新たに設定されたハイブリッドモデルです。このハイブリッドシステムは、フォードと現在のアイシンであるアイシンAWが共同で開発し、すでにSUVモデルのエスケープやマリナーに採用されていたシステムを改良・発展させたものが搭載されました。パワートレインの構成は、アトキンソンサイクル化により最大156馬力を発生する2500ccの直列4気筒エンジンと、106馬力を発生する東芝製の電気モーターの組み合わせです。エネルギーを蓄えるバッテリーには、エスケープハイブリッドと同様に三洋電機製のニッケル水素電池が採用されました。トランスミッションには無段変速機（CVT）が組み合わされ、これにより優れた燃費性能を実現しました。カタログ上の航続距離は1120km以上とされており、日常使いから長距離移動まで十分な実用性を確保していました。また、トヨタ・プリウスなどと同様に、一定条件下では電気モーターのみでの走行も可能であり、その際の最高速度は時速75kmと発表されました。

車名の由来

「ミラン（MILAN）」という車名は、イタリア北部にあるファッションとデザインの都、ミラノ（Milano）にちなんで名付けられています。

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