マーチ・701

マーチ・701 (March 701)

マーチ・701は、マーチ・エンジニアリングが手掛けたフォーミュラ1カーで、1970年から1971年にかけてF1世界選手権に出場しました。このマシンは、ロビン・ハードとピーター・ライトによってデザインされ、マーチの初のF1マシンとして位置付けられます。701は、1969年に開発されたプロトタイプF3マシン「マーチ・693P」の後継として誕生しました。設計から製造にかけてわずか3ヶ月という短期間で仕上げられ、1970年南アフリカグランプリでレースデビューを果たしました。

デビューと成果

701は、発表から1ヶ月後の南アフリカグランプリにおいて、合計11台が製造されました。その中には、ワークスマシンとプライベートチーム向けのものが含まれています。701は、デビュー戦から目覚ましい成果を上げ、初めの4戦で3勝を達成し、3つのポールポジションを獲得しました。しかし、シーズンの進行と共に開発が追いつかず、徐々に競争力を失っていくこととなります。701は1971年には後継モデルであるマーチ・711に取って代わられ、この年のイタリアグランプリが最後のレースとなりました。

設計プロセス

マーチ・エンジニアリングは1969年に設立され、設立メンバーにはアマチュアドライバーのマックス・モズレーやエンジニアとして活躍していたロビン・ハードが含まれていました。701は1969年11月から設計が始まり、1970年2月には走行試験が行われるまでに至ります。デザインの進行に伴い「British Standard」という実用的なアプローチが取られ、701の基本設計が確立されました。ハードは、701に対してある種の幻滅感を抱いていたと後に語っています。

シャシーとボディデザイン

701は、独自のバスタブ型モノコックシャシーを採用しており、ボディはL72アルクラッドアルミニウムと鋳造マグネシウムを使用しています。この車両の特長の一つは、外部燃料タンクの配置であり、車体側面に取り付けられた翼型のタンクは安定性を向上させる効果が期待されました。701は最初の風洞実験が行われなかったため、その空気力学的可能性を活かすことができなかったことも残念です。

エンジンとトランスミッション

701には、フォード-コスワースDFVエンジンが搭載され、このエンジンは高出力を誇りました。また、ヒューランド製のDG300 5速ギアボックスと組み合わせることで、パフォーマンスの向上に寄与しました。サスペンションは保守的な設計がなされており、707スポーツカー時代からの影響を色濃く残しています。特にリヤサスペンションは、コイルオーバースプリングとダンパーユニットを外側に配置する独特な方式が取り入れられています。

成績と影響

701はそのデビューから繊細な扱いを求める難易度の高い車として知られ、ジャッキー・スチュワートが「私が運転した中で最も難しいF1カー」と評したように、ドライバーにとっても技術が求められました。最終的に701は様々なレースで成功を収めましたが、開発不足とライバルの進歩により、その競争力は薄れていきました。1970年には、モナコグランプリ後、701はF1から撤退し、701の影響を受けた次世代の車両へと道を開くこととなりました。

結論

マーチ・701は、フォーミュラ1における重要なマシンとして、短期間で数々の成功を収めたものの、開発の停滞が影響し、短命に終わりました。その設計や技術は後のモデルに影響を与え、F1カーの発展に寄与しました。

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