マーマイト

マーマイトとは

マーマイトは、ビール醸造の過程で生まれる酵母を主原料とした、イギリスおよびニュージーランドで親しまれている食品です。その語源は、フランス語で「ふた付き調理鍋」を意味する「marmite（マルミット）」に由来します。

特徴

濃い茶色のペースト状で、強い塩味と独特の香りが特徴です。主にトーストに塗って食べられるほか、クラッカーに塗ったり、スープに溶かしたりと様々な方法で楽しまれています。イギリス連邦の国々では広く親しまれており、近年ではベジタリアン向けの食品としても注目されています。

しかし、その独特な風味は好き嫌いが大きく分かれるため、日本ではあまり普及していません。ビール酵母は、日本では主に動物飼料や栄養補助食品として利用されています。

歴史

マーマイトの歴史は1902年、英国マーマイト社によって商品化されたことに始まります。しかし、それ以前からビール酵母を食べる習慣はイギリスに存在していました。17世紀には、ビール醸造の副産物として自然に発生した酵母を食していたと考えられています。

科学の発展とともに酵母の研究が進み、ドイツ人科学者リービヒが酵母を濃縮する方法を発明。これにより、ビール酵母を瓶詰めにすることが可能となり、現在のマーマイトの原型が生まれました。ビタミンの発見も、マーマイトの普及を後押ししました。

マーケティング

当初は健康食品としてのイメージが強く、1980年代には「私の仲間マーマイト」というキャッチフレーズで宣伝されました。第二次世界大戦中には、イギリス軍の捕虜収容所でビタミン補給剤としても使用されました。

1990年代以降は、好き嫌いがはっきりと分かれるという特徴を逆手に取ったマーケティングを展開。「マーマイト大好き」「マーマイト大嫌い」というウェブサイトを開設し、消費者の意見を共有する場を設けました。

食べ方

最も一般的な食べ方は、バターやマーガリンを塗ったトーストに薄くマーマイトを塗る方法です。塩味が強いため、単体で食べるのは敬遠されがちですが、バターやマーガリンと組み合わせることで味がマイルドになります。スープの素や、マレーシアでは豚のスペアリブのマリネードとしても使われています。

類似商品

ボブリル (Bovril): 牛肉エキスを主原料とした、イギリスおよびアイルランドの食品。
ベジマイト (Vegemite): オーストラリアで製造・販売されている、マーマイトに似た食品。
ビタマイト (Vitamite), アワメイト (OurMate): ニュージーランド版マーマイト。
聖パトリック祭限定・ギネス酵母マーマイト: ギネスビールの酵母を使用した限定版マーマイト。
セノヴィ (Cenovis): スイス版マーマイト。

製品の種類

様々な容量の瓶入りマーマイトや、絞り出しタイプ、限定版などが販売されています。

販売地域

イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどのイギリス連邦諸国で広く販売されています。近年では、オランダでも人気が高まっています。

製造プロセス

酵母に塩を加えて自己分解を促し、加熱処理を行うことで製造されます。グルタミン酸ナトリウムに類似した遊離グルタミン酸を含有しています。

栄養

ビタミンB群が豊富に含まれています。特にビタミンB12は、製造過程で添加されています。

その他の情報

有名シェフがマーマイトを使ったデザートを開発したことがあります。
フランス人はマーマイトを「イギリスのジャム」と呼ぶことがあります。
蚊除けの効果があるという説がありますが、科学的な根拠はありません。

マーマイトは、その独特な風味と歴史を持つ、イギリスを代表する食品の一つです。

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