ミカンキイロアザミウマ

ミカンキイロアザミウマ (Frankliniella occidentalis) について

ミカンキイロアザミウマは、アザミウマ目アザミウマ科に属する微小な昆虫の一種であり、農業分野において重要な害虫として認識されています。

分布

原産地はアメリカ合衆国西部ですが、現在では北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアといった広範な地域に移入・分布しています。日本へは1990年に侵入が確認され、千葉県や埼玉県といった地域に定着しました。

形態

体長: 雌は1.4-1.7mm、雄は1.0-1.2mm程度
体色: 橙黄色をしています。

生態と被害

ミカンキイロアザミウマは、植物の汁を吸うことで生育を阻害します。また、植物病原ウイルスを媒介する能力も持っており、作物の品質や収量に深刻な影響を与える可能性があります。様々な作物を加害することから、農業分野では特に警戒されています。

侵略的外来種としての問題

本種は、日本生態学会によって「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されています。これは、いったん定着すると根絶が難しく、在来の生態系や農業に重大な影響を及ぼすためです。侵入経路の遮断や早期発見、適切な防除対策が求められています。

防除対策

ミカンキイロアザミウマの防除には、以下のような方法が用いられます。

耕種的防除: 適切な肥培管理、天敵の利用
物理的防除: 防虫ネットの利用、粘着シートの設置
化学的防除: 殺虫剤の散布（ただし、薬剤抵抗性の発達に注意が必要）

これらの防除方法を組み合わせることで、効果的な対策を行うことが重要です。

まとめ

ミカンキイロアザミウマは、農業に大きな損害を与える侵略的な害虫です。その生態や特徴を理解し、適切な防除対策を講じることが、被害を最小限に抑えるために不可欠です。

参考文献

村上興正、鷲谷いづみ 著、日本生態学会 編『外来種ハンドブック』（初版）地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X。

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