ミクソゾア

ミクソゾアの概要

ミクソゾア（Myxozoa）は、ギリシャ語の「myx-」（粘液）と「zoa」（動物）から名づけられた寄生虫の一群です。これらは極嚢を持つ胞子を生成し、刺胞動物門の下位分類群または独立した門として位置づけられています。かつては原生動物の一部として分類されていましたが、その特殊な特徴が認識され、現在では多細胞動物から派生した生物群と考えられています。

生態と生活環

ミクソゾア類は主に魚類と環形動物、またはコケムシを行き来しながら成長する生活環を持っています。この寄生虫は、殻に包まれた多細胞性の胞子によって宿主に感染します。胞子には、1または2つのスポロブラスト（胞嚢体）や、宿主の組織に固定するための極糸（極繊維）が含まれた一つ又は複数の極嚢（polar capsule）が含まれています。

胞子は、運動能を持つアメーバ型胚子（amoebula）に変化し、宿主の組織へ侵入します。侵入後は多核の変形体（plasmodium）に成長し、核が対になって新たな胞子を生成します。このように、ミクソゾアは宿主に対して非常に特異的な感染を行うことで知られています。

分類の歴史

ミクソゾアの分類に関する理解は、1990年頃までは原生動物とされてきましたが、このグループが後生動物に属するという見解も19世紀末から存在していました。特に、放線胞子虫の研究者であるシュトルクは1899年に、これらの胞子の多細胞性を指摘し、原生動物でないことを示唆しました。さらには、ヴァイルは1938年に、極嚢の構造が刺胞動物に似ている点を指摘し、ミクソゾアが退化した刺胞動物の一種である可能性を示唆しました。

しかし、これらの見解は長い間十分に評価されていませんでした。1994年に行われたミクソゾア類に対する初めての分子系統解析によって、確かに後生動物の一群に属し、特に線形動物に近いということが明らかになりました。この結果は意外であったため、その後、ポリポディウムの配列を含むさらなる研究が続けられました。

現在の分類

現在のミクソゾアの分類は主に胞子の形態に基づいています。以下は代表的なグループです。

• - 軟胞子虫綱（Class Malacosporea）

- Buddenbrockia plumatellae
- Tetracapsuloides bryosalmonae

• - 粘液胞子虫綱（Class Myxosporea）

- Myxobolus spp.
- Ceratomyxa shasta
- Kudoa spp.

かつては放線胞子虫綱（Class Actinosporea）とされた生物群は、粘液胞子虫の生活環の一部であったと考えられています。

参考文献

• - 横山博 「魚類に寄生する粘液胞子虫の生活環と起源」『原生動物学雑誌』第37巻第1号、1–9頁、2004年。PDF available
• - Monteiro, A. S., Okamura, B., and Holland, P. W. H. (2002). “Orphan Worm Finds a Home: Buddenbrockia is a Myxozoan”. Molecular Biology and Evolution 19 (6): 968-971.
• - Kent, M. L. et al. (2001). “Recent advances in our knowledge of the Myxozoa”. Journal of Eukaryotic Microbiology 48 (4): 395-413. PDF available

このように、ミクソゾアは多様な寄生形態を持つ生物群であり、その進化的な位置付けや生活環は非常に興味深いものです。

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