ミストラル (ミサイル)

ミストラル（MISTRAL）

ミストラルは、フランスのMBDA社によって開発された対空ミサイルで、特にその軽量性と短射程性能が特徴です。このミサイルは即応性に優れており、速やかな発射が可能です。

開発経緯

ミストラルの開発は1977年に始まり、フランスの統合参謀本部と装備総局（DGA）が近距離防空システムの要件を作成するための技術グループを立ち上げたことに起因します。初期は銃砲の導入も考慮されていましたが、1979年には対空ミサイルに焦点を絞り、SATCP計画が進行しました。

1980年3月には5社からの提案を元にマトラ社、アエロスパシアル社、トムソン・ブラント社の3社に絞込まれ、最終的にマトラ社が開発契約を獲得しました。その後、1983年に試射が開始され、1988年には陸軍および空軍に対する量産型引き渡しが行われました。初期型のミストラル1の生産は15,000発で終了し、2000年からは改良型のミストラル2に切り替えられました。

設計概要

ミサイル技術

ミストラルの誘導装置は、マジック2の派生型で、2波長赤外線誘導方式を採用しています。この誘導センサーは高い感度を誇り、ジェット機やヘリコプターの捕捉が可能です。発射システムは固体燃料ロケットを使用し、発射後すぐに加速し、マッハ2.6の速力を達成します。

ミサイルは約2.95キロの破片効果弾頭を搭載しており、直撃やレーザー近接信管での攻撃が可能です。改良型のミストラル2や3では、誘導装置や操舵翼の設計が見直され、性能が向上しています。

発射装置

ミストラルには可搬式の地対空発射装置があり、重量が軽く、迅速に組み立てることができます。1分以内に発射準備が整い、サマンサ警戒システムと連携することで、6基の発射機を地上で運用することが可能です。

艦対空型も開発され、SADRALおよびSIMBAD発射機が使われています。これにより、フランス海軍のすべての水上艦にミストラルを搭載することが実現しました。

利用国

現在、ミストラルは複数の国において採用されています。具体的には、オーストリア、キプロス、フランス、カタール、シンガポールなどがその例です。これらの国々は、地対空型または艦対空型のミストラルを保有しており、各国の防空能力の一環として重要な役割を果たしています。

結論

ミストラルは、その優れた性能と多用途性から、現代の防空システムにおいて重要な存在であり続けています。その軽量且つ即応性の高い特性は、多岐にわたる軍事用途において非常に価値のあるミサイルであると言えるでしょう。

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