ミス・ユー (ローリング・ストーンズの曲)

ミス・ユー：ローリング・ストーンズのディスコ風味な名曲

1978年、ローリング・ストーンズはアルバム『女たち』から先行シングルとして「ミス・ユー」(Miss You)をリリースしました。この曲は、バンドのレパートリーの中でも際立った存在感を持ち、ディスコのリズムを取り入れたサウンドが特徴的です。

制作背景：ジャムセッションから生まれたヒット曲

「ミス・ユー」は、ツアー中のリハーサルで、ミック・ジャガーと当時ツアーメンバーだったビリー・プレストンによるジャムセッションから生まれました。このセッションから発展した楽曲は、その後、スタジオで丁寧にレコーディングされました。レコーディングには、ストーンズのメンバー5名に加え、イアン・マクレガン（エレクトリックピアノ）、メル・コリンズ（サックス）、シュガー・ブルー（ハーモニカ）といった豪華なミュージシャンが参加。ミック・ジャガーはボーカルだけでなくギターも演奏し、楽曲に深みを与えています。

8分半のロングバージョンと様々なヴァージョン

「ミス・ユー」には、8分半にも及ぶロングバージョンが存在します。これはローリング・ストーンズ初の12インチ・シングルとしてリリースされ、ボブ・クリアマウンテンがミキシングを担当しました。このロングバージョンは後に編集され、「ミス・ユー（ダンス・ヴァージョン）」としてコンピレーション・アルバム『レアリティーズ 1971-2003』に収録されました。シングルのB面には、アルバム『女たち』に収録されている「ファー・アウェイ・アイズ」が収められました。

各国のチャートを席巻した人気

「ミス・ユー」は、イギリスでは初登場32位から最高3位まで上昇し、3週間トップ5にランクインするなど大きな成功を収めました。アメリカでは1973年の「悲しみのアンジー」以来5年ぶりにBillboard Hot 100で1位を獲得し、ダンス・ミュージック/クラブ・プレイ・シングル・チャートで6位、R&Bシングル・チャートで33位にランクインしました。その人気は衰えることなく、ローリング・ストーン誌の選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500において、2010年の改訂では498位にランクインするなど、高い評価を得ています。

ミュージックビデオとライブパフォーマンス

ニューヨークで撮影されたミュージックビデオは、楽曲の世界観を視覚的に表現しています。また、1978年のツアーでは、「ミス・ユー」は頻繁に演奏されました。その模様は、2011年発売の映像作品『サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス '78』に収録されています。さらに、『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』（1983年）、『フラッシュポイント』（1991年）、『ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー』（1998年）といった作品にもライブバージョンが収録されています。

特に1990年代以降のライブでは、バックコーラスの女性シンガーとのセクシーな絡みが特徴的になり、リサ・フィッシャーらとのパフォーマンスが映像作品に残されています。この絡みのある場面では、歌詞が他者への問いかけから他者からの問いかけへと変化するケースもあり、楽曲に新たな意味合いが加えられています。2001年の「コンサート・フォー・ニューヨーク・シティ」では、ミック・ジャガーとキース・リチャーズが「ミス・ユー」を演奏し、その音源はコンピレーション・アルバム『The Concert For New York City』に収録されました。

多様なメディアでの活用

「ミス・ユー」は、映画『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』（2002年）のサウンドトラックにも使用されました。ドクター・ドレーによるリミックスバージョンが採用され、映画の世界観に独特のアクセントを加えています。

数々のアーティストによるカバー

「ミス・ユー」は、多くのアーティストによってカバーされています。その中には、シュガー・ブルー（アルバム『Blue Blazes』）、エタ・ジェイムス（アルバム『Matriarch of the Blues』）、そしてLITTLE CREATURES + UA（ローリング・ストーンズのトリビュート・アルバム『IT'S ONLY ROCK'N' ROLL (BUT WE LIKE IT) A TRIBUTE TO THE ROLLING STONES』）などが含まれ、幅広い世代に影響を与え続けています。UAによるカバーは、彼女のコンピレーション・アルバム『Nephews』にも収録されています。

このように、「ミス・ユー」は、その音楽性、パフォーマンス、そして多様なメディアでの活用を通じて、時代を超えて愛され続けるローリング・ストーンズの代表曲の一つと言えるでしょう。

もう一度検索