悲しみのアンジー

ローリング・ストーンズの不朽の名曲「悲しみのアンジー」：その誕生から現在まで

ローリング・ストーンズの1973年発表の楽曲「悲しみのアンジー」(原題: Angie)は、同年にリリースされたアルバム『山羊の頭のスープ』からの先行シングルとして発表され、大きな成功を収めました。この曲は、多くの憶測を生んだタイトル、豪華なミュージシャンによる演奏、そして世界中で愛される名曲としての地位を確立しています。

タイトルの謎：アンジーとは誰か？

「アンジー」というタイトルは、多くの憶測を呼びました。デヴィッド・ボウイの前妻アンジェラ、活動家のアンジェラ・デイヴィス、キース・リチャーズの恋人アニタ・パレンバーグなど、様々な人物が候補として挙げられていました。しかし、キース・リチャーズ自身は後年、娘の名前がアンジェラであり、その響きの良さがタイトルに選ばれた理由であると明かしています。このエピソードからも、楽曲に込められた個人的な感情が垣間見えます。

豪華な演奏陣とストリングスのアレンジ

楽曲の演奏陣も豪華な顔ぶれです。キース・リチャーズとミック・テイラーがアコースティック・ギターを担当し、ニッキー・ホプキンスがピアノ、そしてニッキー・ハリスンによるストリングスのアレンジが楽曲に深みを与えています。アコースティックギターを中心としたシンプルな構成でありながら、ストリングスの繊細な響きが楽曲全体を包み込み、独特の雰囲気を作り出しています。この洗練されたサウンドは、ストーンズの音楽性における新たな一面を示すものとなりました。

各国のチャートを席巻した人気と、ライブでの定番曲

シングルとしてリリースされた「悲しみのアンジー」は、イギリスで2週連続5位を記録し、アメリカでは堂々の1位を獲得。ローリング・ストーンズにとって7作目の全米1位シングルとなりました。この商業的な成功は、楽曲の持つ普遍的な魅力を示すものと言えるでしょう。その後も長年にわたりライブで演奏され続け、ライブアルバム『ストリップド』(1995年)、『ブリッジズ・トゥ・バビロン』(1997年、日本盤のみ収録)、『ライヴ・リックス』(2004年)などに収録されています。ライブパフォーマンスでは、スタジオバージョンとは異なる熱気が感じられ、観客を魅了する名曲として、時代を超えて愛されています。

プロモーションフィルムと政治利用

「悲しみのアンジー」のプロモーションフィルムは2種類存在し、どちらもボーカルのテイクが異なる点が注目されます。また、意外なことに、2005年にはドイツ連邦議会の総選挙で、CDU党首アンゲラ・メルケルが選挙運動にこの曲を起用するという出来事がありました。バンド側は当初難色を示しましたが、CDUが演奏権を主張し、最終的にはドイツ音楽著作権協会GEMAからも確認を得て、使用が認められました。このエピソードは、楽曲の持つ影響力の大きさを改めて示しています。

日本での再評価と数々のカバー

日本では1997年、フジテレビ系ドラマ『フェイス』の主題歌として使用されたことをきっかけにCDシングルが再発され、オリコン61位を記録するなどリバイバルヒットとなりました。カップリング曲はオリジナル盤と同じ「シルヴァー・トレイン」でした。さらに、この曲は多くのアーティストにカバーされており、沢田研二、西城秀樹、ウーマック＆ウーマック、トーリ・エイモス、ステレオフォニックス、ヨーロピアン・ジャズ・トリオ、金子飛鳥、ガンズ・アンド・ローゼズ、アルフィー・ボー、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーなど、様々なアーティストがそれぞれの解釈で「悲しみのアンジー」を歌い上げています。これらカバーバージョンの多様性は、楽曲の持つ普遍的な魅力と、時代を超えて愛される理由を示すものです。

まとめ

「悲しみのアンジー」は、そのタイトル、演奏陣、商業的な成功、そして政治利用や数々のカバーなど、多くのエピソードを持つローリング・ストーンズの代表曲です。洗練されたサウンドと普遍的な魅力は、今もなお多くの音楽ファンを魅了し続けています。この曲は、単なる一曲という枠を超え、時代や文化を超えて人々に影響を与え続ける不朽の名曲と言えるでしょう。

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