ミッキー・ウェルチ

マイケル・フランシス・ウェルチ（Michael Francis Welch、1859年7月4日 - 1941年7月30日）は、アメリカ合衆国ニューヨーク市ブルックリン出身のプロ野球選手でした。右投げ右打ちの投手として、1880年代にニューヨーク・ジャイアンツで輝かしい成績を残し、愛称の「スマイリング・ミッキー」で親しまれました。彼は、メジャーリーグ史上3人目となる通算300勝を達成した名投手として、その名を歴史に刻んでいます。

初期の活躍と移籍

1880年、ウェルチはトロイ・トロージャンズでメジャーデビューを果たします。初年度から83試合中65試合に登板し、34勝30敗という目覚ましい成績を記録しました。同年8月6日のクリーブランド・ブルース戦では、相手打線を1安打に抑える圧巻のピッチングを披露しています。その後2シーズンはやや調子を落としましたが、ティム・キーフと共に先発投手としてチームを支え続けました。

1882年、トロージャンズの解散に伴い、ウェルチはニューヨーク・ジャイアンツへ移籍します。この年、アンダースロー以外の投球法が解禁されたことが、彼の飛躍のきっかけとなりました。新たな投球法を習得したウェルチは、多くの勝利を積み重ねていきます。1884年には、39勝21敗、345奪三振という素晴らしい成績を収めました。同年8月28日の対フィラデルフィア戦では、1回から3回にかけて「9者連続三振」という驚異的な記録を樹立。この記録は、1970年にトム・シーバーが10者連続三振を記録するまで、80年以上もの間メジャーリーグ記録として保持されました。

キャリアの絶頂

1885年、ウェルチの勢いはさらに加速します。44勝11敗、防御率1.66という驚異的な成績を記録し、2年連続でチームの勝利数の半分以上を一人で稼ぎ出しました。この年のジャイアンツは、ウェルチとティム・キーフの二枚看板で合計76勝を挙げるという圧倒的な強さを見せつけました。

記録と引退後

1889年9月10日の試合では、ウェルチがメジャーリーグ史上初の代打として出場するという珍しい記録も残っています。試合中に負傷したハンク・オーデイの代わりとして打席に立ったウェルチは、当時のルールで認められていた「試合中の負傷による交代」の適用第1号となりました。

翌1890年7月28日、ウェルチはピッツバーグ戦で通算300勝を達成し、その偉業を不動のものとしました。1892年に現役を引退した後は、リゾートホテルの経営など実業家として活躍しました。

1940年、ウェルチはニューハンプシャー州で生涯を閉じました。しかし、彼の功績は忘れられることなく、1973年にベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、球史に名を残すこととなりました。

ウェルチは通算525完投で歴代6位タイ、通算274暴投で歴代3位という記録も残しています。1884年8月28日には9者連続三振を達成しました。

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