ミディ運河

ミディ運河の歴史と特徴

ミディ運河（フランス語: Canal du Midi）は、フランス南部のトゥールーズに起点を持ち、全長240km、支流を含むと360kmにも及ぶ運河です。この運河は、大西洋と地中海の間を結ぶ重要な航路として、19世紀まで活躍しました。今日では、運河クルーズの人気スポットとして観光客を魅了しています。

建設の背景

運河の建設は、ピエール＝ポール・リケという徴税吏によって計画されました。リケの提案は、貨物輸送にかかる航路を約3000km短縮するもので、特にジブラルタル海峡の通行税を回避することを目的としたものでした。この構想は、フランス国王ルイ14世によって国家プロジェクトとして認められ、1666年に工事がスタートしました。

工事の技術

当時の土木技術を駆使したこの運河の建設は、標高差のある地域に水を供給するため、20km離れた場所に位置するサン・フェレオール貯水池を設け、その水を運河の最高地点まで引き上げるための一連の工夫が行われました。また、たくさんの人造湖や、起伏の多い地形に対応するための運河橋やトンネル、100以上の水門の建設が行われました。

特にフォンセランヌの7段ロックは、21mの標高差を持ち、船を上下させるシステムで、この運河のシンボルともなっています。この工事は非常に困難であり、予算が足りず、リケ自身は家財を売って資金を調達するほどでしたが、1680年に彼は完成を見ることなく亡くなりました。その後、彼の息子が工事を引き継ぎ、1681年に完成させることができましたが、1694年にはさらなる改修が行われ、運河は最終的に完成を遂げました。

運河の影響

ミディ運河の開通は、運河沿いの郷土産業に大きな影響を与え、ボルドーやサンテミリオン、ラングドック地方のワインの生産量を跳ね上がらせました。そのため、リケの出身地であるベジエはワイン取引の中心地として発展を遂げました。

現代における魅力

19世紀には鉄道が開通し、運河の運送役割は減少しましたが、現在では運河沿いの散歩道やクルーズが訪れる人々を楽しませています。特に、運河の両側には約45,000本のプラタナスや糸杉が植えられ、日陰のある美しい散策路を提供しています。

ミディ運河はその文化的価値から、1996年に世界遺産に登録されています。これは、人類の創造的才能や技術の発展、歴史的な時代を表す重要な建築物として認識されたためです。今日もなお、多くの観光客が訪れ、運河の美しさと歴史を楽しんでいます。

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