ミトラ (競走馬)

ミトラ - 司教冠を冠した競走馬の物語

2008年4月11日生まれの競走馬、ミトラ。その馬名は、主教や司祭が被る冠である司教冠を意味しています。ミトラの競走生活は、決して順風満帆ではありませんでしたが、持ち前の才能と粘り強さで数々のレースを戦い抜き、多くのファンを魅了しました。

2歳時代と芝への転向

2010年11月、東京競馬場でのデビュー戦は残念ながら最下位に終わりました。この結果を受け、ミトラは去勢手術を受けることになります。その後、ダート戦を転戦し、3勝を挙げた後、意外な才能が開花します。デビュー以来初となる芝レース、フリーウェイステークスでレコード勝ちを収めたのです。この勝利が、ミトラの芝への転向、そして新たな挑戦の始まりを告げました。

重賞初制覇への道のり

芝を主戦場としたミトラは、オープン馬への昇格を果たします。しかし、重賞レースへの挑戦は容易ではありませんでした。初重賞となった阪急杯では14着と惨敗。その後、約1年4ヶ月の休養を挟みますが、復帰レースで見事1着。オープン2勝目を挙げ、復活を印象付けます。続く関屋記念では10着と振るわずも、京成杯オータムハンデキャップでは3着と重賞で初めて複勝圏内に入ります。そして2000m戦初挑戦となった福島記念では、ミカエル・バルザローナ騎手を鞍上に迎え、見事重賞初制覇を成し遂げました。

栄光と引退

福島記念制覇後、ミトラはさらに上のステージを目指します。アメリカジョッキークラブカップでは2着、中日新聞杯では5着と好走を見せます。オールカマーでは3着、そして福島記念連覇を狙ったものの、惜しくも2着。しかし、2015年の金鯱賞で、ミトラはついに重賞2勝目を挙げます。4コーナーからの鋭い追い上げは、多くの観客の心を掴みました。レコードタイのタイムでの勝利は、ミトラの競走生活における最高の瞬間の一つと言えるでしょう。しかし、この金鯱賞がミトラの最後のレースとなりました。脚部不安により、引退が決定。2016年4月27日、競走馬としての登録を抹消されました。

第二の人生と系譜

セン馬であったミトラは種牡馬になることはありませんでしたが、引退後はノーザンホースパークで乗馬として第二の人生を歩み始めます。その後、2019年頃に退厩し、現在は立教大学馬術部で「聖冠」という名前で繋養されています。

ミトラの血統には、GI4勝馬メイショウサムソン、クイーンステークス勝ち馬アサクサスケールといった名馬が名を連ねています。5代母には天皇賞・有馬記念を制したガーネツトがおり、その牝系は小岩井農場の基礎輸入牝馬フロリースカツプにまで遡ります。

ミトラの競走生活は、決して華々しいものばかりではありませんでした。しかし、その努力と才能、そして周囲のサポートによって、数々の栄光を掴みました。多くのファンに感動と興奮を与えたミトラの物語は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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