ミナルディ・M190

ミナルディ・M190 概要

ミナルディ・M190は、ミナルディチームが1990年のF1世界選手権に参加するために開発したフォーミュラ1カーで、著名なデザイナーアルド・コスタによって設計されました。この車両は、シーズンの初めに投入されたM189Bの後継モデルとして、シーズン第3戦であるサンマリノGPから使用されることとなります。

開発の背景

M190はM189のデザインを引き継ぎつつも、数多くの改良が施されています。特に際立ったのはリアセクションの変更で、新しいサスペンションが採用され、ギアボックスの構造も見直されました。また、シャシー剛性を向上させるために、エンジンマウントやベルハウジングが新たに設計されました。搭載されるエンジンは市販型のコスワースDFRであり、スイスのハイニー・マーダー・レーシング・コンポーネンツによってチューニングが施されています。さらに、M190の発表時には、翌1991年からフェラーリ製V12エンジンを使用する契約が公表され、エンジンに対する期待が高まりました。

エアロダイナミクスと新規パーツ

M190のエアロダイナミクス設計も注目に値します。ノーズ先端が鋭角になるとともに、フロントウイングには大型のパーツを取り入れ、特にシャシー中央から設置された支持ワイヤーによって支えられる方式が採用されました。加えて、フロントウイングには前年にダラーラが使用し、他チームが模倣した整流板が筐体下部に追加され、これが「ヴォルテックスジェネレータ」の前身となっています。アンダートレイやリアウイングも新たに設計され、全体として新技術が盛り込まれています。

1990年シーズンのパフォーマンス

1990年シーズンでは、ピエルルイジ・マルティニとパオロ・バリッラのドライバーコンビがM190を操作しました。しかし、シーズン中にマルティニがサンマリノGPの予選中にクラッシュし、足の骨を骨折。そのため、彼はそれ以降のレースに欠場を余儀なくされます。M190は信頼性に問題があり、マルティニは完走を5回達成し、バリッラは4回完走しましたが、予選落ちも多く見られました。

バリッラは第14戦スペインGP後に契約が解除され、残りの2戦にはフェラーリのテストドライバーであるジャンニ・モルビデリが採用されました。しかし、全体を通してチームは選手権ポイントを獲得することは叶わず、M190のベストリザルトはマルティニによる8位（第15戦日本GP）という結果に終わりました。

F1における全成績

M190の成績は、F1界においての位置づけを考える上で重要です。安定したパフォーマンスの欠如が際立ったこの車は、ミナルディチームにとって学びの道のりでもあり、将来的な成長の礎を築くものでした。

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