ミハイル・ニコラエヴィッチ・ムラヴィヨフ

伯爵ミハイル・ニコラエヴィッチ・ムラヴィヨフ

ミハイル・ニコラエヴィッチ・ムラヴィヨフ（1845年4月19日生まれ、1900年6月21日没）は、帝政ロシアの外務大臣として知られる政治家であり、その外交政策においてヨーロッパから極東への関心を移すことを提唱した人物である。彼の名を最も広く知らしめた業績の一つは、1899年にオランダのハーグで行われた万国平和会議の開催である。

生涯と背景

ミハイル・ムラヴィヨフは、グロドノの知事を務めたニコラス・ムラヴィヨフ伯爵の子供としてサンクトペテルブルクで生まれた。彼はリトアニア地方において、1863年のポーランド反乱に対する厳しい弾圧を指導したミハイル・ニコラエヴィッチ・ムラヴィヨフ＝ヴィレンスキー伯爵の孫にあたる。

彼は教育をポルタヴァの中学校で受け、その後、ドイツのハイデルベルク大学に短期間在籍して学業を続けた。1864年、彼はサンクトペテルブルクの外務省に入り、シュトゥットガルトの公使館に配属されることになる。この職務を通じて、彼はロシア皇帝ニコライ1世の次女であるオリガ大公女に注目され、その後、ベルリンやストックホルムの各地へ転任した。

1877年にはハーグで二等書記官としての役割を担い、露土戦争中には赤十字社の代議員として活動した。その後、彼はパリの筆頭秘書官、ベルリンの大使館長を経て、コペンハーゲンの大使に任命される。1896年にアレクセイ・ロバノフ＝ロストフスキー公爵が亡くなると、その後継として彼は外務省の支配人に就任し、1897年には外務大臣に任命された。

外務大臣としての業績

ムラヴィヨフが外務大臣を務めた3年半は、ヨーロッパの外交上、非常に困難な時期であった。オスマン帝国のクレタ島における反乱や、中国での義和団の乱が外交的緊張を高める要因となった。クレタに対する彼の政策は一貫性がなく、希土戦争ではロシアと他国がオスマン帝国を支持した結果、ギリシャは敗北を喫したが、ロシアは後にクレタ島の自治の確立に貢献した。

特に中国に関しては、ドイツ帝国が膠州湾を占有することで動きが活発になった。ムラヴィヨフは、ロシアが旅順を占領することを提案し、これがセルゲイ・ウィッテ蔵相との対立を生む原因となった。結局、皇帝ニコライ2世はムラヴィヨフの意見を採用し、1898年には露清条約を結び、旅順と大連を25年間租借することを確定させた。この結果、他国には警戒感が広がった。

1889年8月12日に、ムラヴィヨフは覚書を発表し、これを受けてニコライ2世の呼びかけによって、1899年6月にデン・ハーグで万国平和会議が開催されることになった。この時、彼は中国での攻撃的政策との矛盾を懸念し、遼東半島の租借問題を議題から外すことにした。

死亡と評価

しかし、1900年に起こった義和団の乱の頃には、満州と北京におけるロシアの状況が混乱を極めていた。その際、ムラヴィヨフと皇帝との関係も緊迫感を増していた。彼は1900年6月21日に突然死し、その死亡によって多くの憶測が流れた。政府の公式発表によると、彼は誤って書斎の机に頭を打ち付けたとされている。彼の墓はサンクトペテルブルクのトロイツェ・セルギイ修道院に存在する。

家族

ムラヴィヨフは1871年にソフィア・ニコラエヴナ・ガガリーナと結婚し、二人の子供が生まれた。しかし、彼の妻は1874年に早逝し、その後、彼はシングルファーザーとして子供たちを育てることになった。長女のソフィアは29歳で亡くなり、長男ニコライも60歳まで生きて彼の人生を全うした。彼は生涯を通じて多くの勲章を受章し、特にセルビア国から白鷹勲章が与えられている。

もう一度検索