ミルトン・ヒューメイソン

ミルトン・ラ・サール・ヒューメイソン (1891年8月19日-1972年6月18日) は、20世紀を代表するアメリカ合衆国の天文学者です。彼は、恵まれない環境から世界的な発見へと至った、ドラマチックな人生を送りました。

ミネソタ州で生まれたヒューメイソンは、14歳で学校を中退。その後、正式な教育を受けることはありませんでしたが、彼はウィルソン山に魅せられ、建設中のウィルソン山天文台でラバ使いとして働くようになりました。そこで彼は天文学の仕事に触れ、強い興味を持つようになります。

1917年、ヒューメイソンはウィルソン山天文台の守衛として雇われます。持ち前の勤勉さと静かな観察眼、そして天文学への並々ならぬ情熱から、彼は夜間の天文台の助手として働くことを志願しました。高校卒業資格すらない人物の異例な採用でしたが、ヒューメイソンは持ち前の高い能力で周囲を魅了しました。

彼の真摯な姿勢と類まれな観測スキルは、天文台の研究者たちに認められました。そして1919年、天文台長ジョージ・エラリー・ヘールは、ヒューメイソンを正式なスタッフとして採用するという大胆な決断をしました。この決断は、後にヒューメイソンの活躍によって完全に正しかったことが証明されることになります。

ヒューメイソンは、正確で緻密な観測者として知られるようになりました。かすかな銀河の写真や複雑なスペクトログラムを捉える彼の卓越した技術は、多くの重要な発見につながりました。特に1928年に測定した系外銀河のスペクトルの赤方偏移のデータは、1929年にエドウィン・ハッブルが発表したハッブルの法則の重要な根拠となりました。彼の貢献は宇宙物理学の発展に大きく寄与しました。

ヒューメイソンの功績は、観測技術のみにとどまりません。1950年には、スウェーデンのルンド大学から名誉博士号を授与され、その高い学術的評価が認められました。また、1956年には新たな観測結果を基にハッブルの法則の修正にも貢献しています。さらに、彗星の発見者としても知られ、1960年には非周期彗星C/1960 M1、1961年には近日点が火星軌道より遠い彗星C/1961 R1（フマーソン彗星）を発見しました。

興味深いことに、1919年12月27日から29日にかけてヒューメイソンが撮影した写真乾板には、後にクライド・トンボーによって発見される冥王星が写っていたことが判明しています。彼は、冥王星の発見にも間接的に貢献していたのです。

ヒューメイソンは、カリフォルニア州メンドシーノでその生涯を閉じました。しかし、彼の功績は天文学の歴史に深く刻まれています。月面のクレーターヒューメイソン、そして小惑星ヒューメイソンは、彼の名を後世に伝える、永遠のモニュメントとなっています。彼の物語は、努力と情熱が、どんな困難も乗り越える力となることを示す、感動的な実話です。彼は、教育の有無に関わらず、才能と努力があれば、誰もが偉大な業績を成し遂げることができるという証明となりました。

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