ミント・ジャム

ミント・ジャム (Mint Jam)

アルバム概要

『ミント・ジャム』は、アメリカを代表するフュージョン・グループ、イエロージャケッツが2002年に発表した2枚組のライブ・アルバムです。この作品は、彼らがそれまで長らく所属していたワーナー・ブラザース・レコードを離れ、新たにヘッズ・アップ・インターナショナルと契約を結んでから初めてリリースされた記念すべきアルバムとなりました。ジャンルは彼らの得意とするフュージョンで、スリリングな演奏と洗練されたアンサンブルが特徴です。

制作背景

本作は、バンドにとっていくつかの重要な変化があった時期に制作されました。一つは前述のレーベル移籍です。メジャーレーベルからジャズやフュージョンに特化したレーベルへの移籍は、バンドの音楽性や活動方針に新たな方向性をもたらす契機となったと考えられます。

もう一つ、そして特に重要な変化は、ドラマーの交代です。2000年4月、長年バンドのサウンドを支えてきたドラマーに代わり、新たにマーカス・ベイラーが加入しました。『ミント・ジャム』は、この新体制となったイエロージャケッツが初めて世に送り出したアルバムとなります。マーカス・ベイラーの加入は、バンドに新しいリズム感やダイナミクスをもたらし、その後の彼らのサウンドに大きな影響を与えています。このライブ・アルバムは、新メンバーを含めたバンドの現在の実力と、ライブでのエネルギーを余すところなく伝えることを意図して制作されたと言えるでしょう。

録音詳細

アルバムは、2001年にカリフォルニア州ロサンゼルスにある著名なクラブ「The Mint」にてライブ録音されました。クラブという親密な空間での録音は、観客の熱気とバンドの緊密な演奏を見事に捉えています。また、録音形式にはDDD（フル・デジタル録音）が採用されており、クリアで高解像度なサウンドが実現されています。これにより、各楽器のニュアンスやライブならではの臨場感が、リスナーにダイレクトに届けられます。2枚組という構成は、長時間のパフォーマンスを収録することを可能にし、バンドの幅広いレパートリーやライブでのアレンジの妙をじっくりと堪能できるようになっています。

パーソネル

本作に参加しているのは、この時期のイエロージャケッツを支える核となるメンバーです。

• - ボブ・ミンツァー (Bob Mintzer): テナー・サクソフォーン、EWIを担当。バンドのサウンドの要であり、パワフルかつ表情豊かなサクソフォーン演奏と、電子楽器であるEWIを用いたモダンなサウンドを提供しています。
• - ラッセル・フェランテ (Russell Ferrante): ピアノ、シンセサイザーを担当。バンドの創設メンバーであり、作曲面でも中心的な役割を担っています。洗練されたコードワークとメロディックなソロで、楽曲に奥行きと色彩を与えています。
• - ジミー・ハスリップ (Jimmy Haslip): エレクトリックベースを担当。こちらもバンドの創設メンバーであり、そのグルーヴィーでテクニカルなベースラインは、バンドのリズムセクションの基盤を築いています。彼の安定感のあるプレイが、他のメンバーの自由な演奏を支えています。
• - マーカス・ベイラー (Marcus Baylor): ドラムスを担当。新加入ながら、その力強くも繊細なドラミングでバンドに新たな息吹を吹き込んでいます。彼の加入が、この時期のイエロージャケッツのサウンドに新鮮なエネルギーをもたらしたことは間違いありません。

まとめ

『ミント・ジャム』は、イエロージャケッツにとって新たな章の幕開けを告げる重要な作品です。レーベル移籍と新ドラマーの加入という変化を経て、彼らがライブバンドとして円熟期を迎えていることを証明するアルバムと言えるでしょう。クラブでの親密な空間で収録されたこの2枚組は、イエロージャケッツの卓越した演奏能力、メンバー間の緊密なインタープレイ、そしてフュージョンというジャンルの持つエキサイティングな魅力を存分に味わえる一枚となっています。特に、新メンバーであるマーカス・ベイラーを含む新体制での初のライブ記録として、ファンにとっては見逃せない作品です。

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