ミール・ドッキングモジュール

ミール・ドッキングモジュールは、ロシアのミール宇宙ステーションに向けて打ち上げられた6番目のモジュールです。1995年11月12日にスペースシャトル・アトランティスによってSTS-74ミッションで打ち上げられ、11月15日にミールとのドッキングに成功しました。

開発の背景

当初、ミール・ドッキングモジュールは、キャンセルされたミール2のために1992年に設計されたものをベースとしています。この設計は、ブラン宇宙往復機がドッキングするためのドッキング区画と、エアロックを兼ねたものでした。後に、この設計は国際宇宙ステーション（ISS）のピアースモジュールとして実現しました。

シャトル・ミール計画が開始されると、エンジニアたちはスペースシャトルをミールにドッキングさせるためには、クリスタルモジュールを移設する必要があることに気づきました。STS-71で行われた最初のミールとシャトルのドッキングでは、ミールの太陽電池とシャトルの間に十分な間隔を設けるために、クリスタルモジュールを移動させる作業に時間がかかりました。クリスタルモジュールには、ミールの各モジュールをコアモジュールの別のポートに移動させるためのLyappaアームが装備されていましたが、もしこれが故障した場合、移設が不可能になるという懸念がありました。これらの問題を解決するために、ミール・ドッキングモジュールは、クリスタルモジュールを移設することなく、スペースシャトルに十分なスペースを確保するために開発されました。

主な機能と特徴

ミール・ドッキングモジュールは、両端に2つのAPAS-89ドッキングポートを備えています。1つはクリスタルモジュールのAPASポートに結合し、もう1つはスペースシャトルのドッキングに使用されました。また、独自の熱制御システム、テレビ送信装置、遠隔測定装置を備えていました。

太陽電池パネルの運搬

スペースシャトルとのドッキング場所として使用されるだけでなく、ミール・ドッキングモジュールは2つの太陽電池パネルの運搬機としても使用されました。1つはMir Cooperative Solar Array (MCSA)で、もう1つはロシアが開発した太陽電池アレイです。MCSAはシャトル・ミール計画の第1フェーズで使用され、アメリカ航空宇宙局（NASA）とロシアが将来の国際宇宙ステーションのための設計試験を共同で行うために設計されました。1996年5月にクバント1モジュールに設置され、展開されました。このパネルは長さ18m、幅2.7mで、ロシア製のフレームにアメリカ製の42枚のパネルが設置されており、6.7kWの発電能力がありました。

ロシア製の太陽電池アレイは、クバント1に設置されていた古い太陽電池と交換する形で、1997年11月にクバント1に設置されました。このアレイは当初、プリローダモジュールに設置して打ち上げる予定でしたが、設計変更によりキャンセルされました。

ミール・ドッキングモジュールの意義

ミール・ドッキングモジュールは、スペースシャトルとミール宇宙ステーションとのドッキングを容易にし、物資の輸送や人員の交代を円滑に行う上で重要な役割を果たしました。また、アメリカとロシアの協力関係を深め、国際宇宙ステーション（ISS）の建設に向けた貴重な経験と技術を提供しました。ミール・ドッキングモジュールは、宇宙開発における国際協力の象徴的な存在と言えるでしょう。

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