STS-74

STS-74：スペースシャトルとミールのドッキングミッション

STS-74は、アメリカ合衆国とロシアによるシャトル・ミール計画において重要な役割を果たしたミッションです。スペースシャトル・アトランティスがミール宇宙ステーションと2度目のドッキングを行い、様々な物資の輸送や実験装置の設置などが行われました。このミッションは、宇宙開発における国際協力の象徴的な出来事の一つと言えるでしょう。

ミッションの概要

1995年11月12日、スペースシャトル・アトランティスは39A発射台から打ち上げられ、8日間のミッションを開始しました。アトランティスは、ミールとのドッキングを可能にするためのミール・ドッキングモジュールを搭載していました。このモジュールのおかげで、ミールのクリスタルモジュールを動かすことなく、スペースシャトルとのドッキングが可能になったのです。

3日間のドッキング期間中、アメリカ、ロシア、カナダの乗組員は協力して、アトランティスとミールの間で補給品や装備を移動させました。また、いくつかの長期実験の装置を動かし、ドッキングモジュールの設置など、新しい設備への更新も行われました。

乗組員

STS-74ミッションに参加した乗組員は以下の通りです。

船長：ケネス・D・キャメロン（3度目の宇宙飛行）
操縦手：ジェームズ・ハルセル（2度目の宇宙飛行）
ミッションスペシャリスト1：クリス・ハドフィールド（初の宇宙飛行）, CSA
ミッションスペシャリスト2：ジェリー・ロス（初の宇宙飛行）
* ミッションスペシャリスト3：ウィリアム・マッカーサー（2度目の宇宙飛行）

ミッションの準備

ミッションの準備は、打ち上げの13か月前から始まりました。乗組員は、スペースシャトルの操縦、ミールとのドッキング手順、搭乗中に行われる様々な科学実験の運営などの訓練を受けました。

アトランティス自体の準備も入念に行われました。オービタ整備施設でのスラスタ交換や、3つのSSMEの設置、ロシアのドッキングモジュールの閉鎖作業などが完了しました。

打ち上げ前には、固体燃料補助ロケットに取り付けられたhold-down postに小さな亀裂が見つかりましたが、詳細な検査の結果、飛行に影響はないと判断されました。また、低温タンクへの酸素と水素の充填準備も行われました。

ミッションのタイムライン

打ち上げと初期軌道

最初の打ち上げは天候不良のため延期されましたが、11月12日午前7時30分(EST)、アトランティスは無事に打ち上げられました。打ち上げから約43分後、エンジンが点火され、シャトルは162マイルの円形軌道に入りました。軌道上では、乗組員が実験の準備を行い、ペイロードベイのドアが開かれました。

ドッキング準備

打ち上げの約3時間後、キャメロンとハルセルは姿勢制御スラスタを点火し、アトランティスをミールの方向に向けました。ハドフィールドはペイロードベイに格納されたロシア製のドッキングモジュールを起動し、アトランティスのオービタドッキングシステムとモジュールのドッキングに向けた準備を始めました。

ドッキングの実行

飛行3日目、乗組員は、15フィートの長さのロシア製ドッキングモジュールとシャトルのオービタドッキングシステムとの結合に成功しました。ハドフィールドがシャトルのロボットアームを操作し、ドッキングモジュールをオービタドッキングシステムに移動させました。2つの宇宙船が互いをロックすると、オービタドッキングシステムのドッキングリングが機体内にひっこみ、2機の間の機密性が保たれました。

ミールとのドッキング

アトランティスは、飛行4日目に、ドッキングモジュールの頂部のアンドロジナスドッキング機構を用いて、ミールのクリスタルモジュールとドッキングしました。キャメロンがオービタのスラスタを操作してシャトルをミールに近づけ、完璧な操縦でドッキングを成功させました。ドッキング後、乗組員はミールに移動し、3日間の共同作業を開始しました。

共同作業

3日間の共同作業中、アトランティスの乗組員は、水、補給品、装備、ソーラーアレイなどの様々な物品をシャトルから宇宙ステーションに運び込みました。また、実験サンプルや修理が必要な装置などをアトランティスに運び込み、地球に持ち帰りました。

ドッキング解除と帰還

11月18日、アトランティスはミールとのドッキングを解除し、地球への帰還を開始しました。11月20日、アトランティスはケネディ宇宙センターの第33滑走路に着陸し、8日間のミッションを終えました。

まとめ

STS-74ミッションは、アメリカとロシアの宇宙開発における協力関係を深める上で重要な役割を果たしました。スペースシャトルとミールのドッキングは、国際宇宙ステーション（ISS）の建設に向けた大きな一歩となり、その後の宇宙開発に大きな影響を与えました。

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