ムサ・ダディス・カマラ

ムサ・ダディス・カマラ

ムサ・ダディス・カマラ（Moussa Dadis Camara）は、1964年12月29日生まれのギニアの軍人、政治家です。彼は2008年のクーデターで権力を掌握し、ギニアの大統領となりました。

経歴

カマラは、現在のギニア東部、コートジボワールやリベリアとの国境に近いンゼレコレ州ローラ県のコウレで生まれました。コナクリのアブデル・ナセル大学で経済学を学んだ後、1990年にギニア軍に伍長として入隊しました。2004年にはドイツで18ヶ月の軍事訓練を受け、大尉に昇進。クーデター前は軍の燃料補給部隊を統括していました。

2008年12月23日、ランサナ・コンテ大統領が病死すると、カマラは部下を率いて大統領府などコナクリの重要拠点を制圧しました。翌24日には「国民民主開発評議会（CNDD）」を率いて暫定大統領に就任し、憲法停止と政府の解散を発表、2年後の2010年に選挙を行い民政移管を行うと表明しました。

しかし、当時のスアレ首相はこれを否定する声明を発表。「政府は今も実権を握っている」と主張しましたが、結局25日にカマラに投降。これにより、カマラが名実ともにギニアの実権を掌握しました。このクーデターに対し、アフリカ連合や西アフリカ諸国経済共同体は非難声明を発表し、ギニアの参加資格を停止しました。

大統領就任後、カマラは前政権の腐敗を一掃するとし、高官を追放して権力基盤を固めようとしました。しかし、2009年9月28日、首都コナクリで発生した反政府デモに対し、大統領警護隊が無差別発砲。157名が死亡、女性が強姦されたうえ殺害されるなど、国際社会から非難を浴びました。

2009年12月3日、副官であるアブバカール・ディアキテがカマラに発砲し、頭部を負傷。モロッコの首都ラバトへ搬送されました。その間、副大統領兼国防大臣のセクバ・コナテが大統領代行を務めました。

2010年1月16日、カマラは滞在先のブルキナファソで、怪我が完全に回復するまで帰国しないと述べました。その後も帰国することはなく、事実上ブルキナファソへ亡命。亡命後にはイスラム教からカトリックに改宗し、名前を「ムサ」から「モイーズ」に変更しました。

2022年9月、ギニアへ帰国。2009年の反政府デモにおける虐殺に関与した疑いで裁判を受けています。2023年11月4日には、武装集団が刑務所を襲撃しカマラを連れ去る事件が発生しましたが、翌日には刑務所に戻っています。

2024年7月31日、ムサ・ダディス・カマラは2009年に起きた虐殺で「人道に対する罪」で有罪となり、懲役20年の判決を受けました。

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