ムック (出版)

ムック（mook）について

ムックは、雑誌と書籍の特長を融合させた特異な出版物です。これは、英語の「magazine」と「book」を組み合わせた造語で、1971年に国際雑誌連合の会議で初めて用いられ、その後広く認知されました。ムックは、通常の雑誌と異なり、書籍としてのISBNコードが付与され、場合によっては雑誌コードも取得します。特に雑誌コードを伴う場合には、特定の流通方法が適用されます。

日本におけるムックの歴史

日本では、ムックという言葉が使われる前から1950年代に女性向け雑誌の別冊や増刊号が刊行されており、実用書として豊富な写真やイラストを用いた内容が提供されていました。1978年にはすでに1000点以上のムックが市場に登場し、その内容は写真集や絵本など多岐にわたりました。

1980年代後半から1990年代初頭にかけては、特にパソコン関連の雑誌が付録を付けるためにムック形式に移行する事例がありました。これにより、『MSX・FAN』などの雑誌はフロッピーディスクを付録として提供するためにムックとなりました。また、流通規制の緩和により、1994年以降はフロッピーディスクやCD-ROMも付録として許可されるようになりました。

ムックの特徴

ムックの主な特徴は、その大判サイズとビジュアル重視の内容です。1985年には、ムックの特徴として以下の三点が挙げられました。

1. 在庫の取り扱い: 通常の雑誌は出版社が在庫を持たないが、ムックは書籍のように受注生産的に扱われ、長期的な販売が可能です。
2. 返品条件: 一般の雑誌には返品期限がありますが、ムックには返品期限が設けられていないため、在庫を持つことが可能です。
3. 内容の分類: 内容は、主に雑誌の特集として組まれたもの、特定のテーマに集中したもの、書籍として展開されるものの三つに分類されます。

川井良介は1990年代後半に、ムックの特徴を六つ挙げています。

• - 雑誌コードを利用して流通を活用
• - 書籍よりも発行部数が多く、価格が安価
• - 広告収入が見込めること
• - 外注によるコスト削減
• - 公開日、発行数、価格の自由な設定
• - 長期的販売が可能で、返品条件を設けない方法

さらに、ムックが雑誌コードを持たない場合もありますが、これはコードの新規追加が停止していることに起因しています。それらはおおむね、同じタイトルの書籍を毎月発行する形式を取っており、書籍にも広告を含むケースがあります。

参考文献

このように、ムックは独特の地位を占める出版形式として、日本の出版文化において重要な役割を果たしています。参考文献としては、以下の書籍があります。

• - 日本出版学会編『出版の検証 敗戦から現在まで 1945-1995』
• - 出版ニュース社編『出版データブック 1945-1996』

関連項目として、ペーパーバックや付録の存在もあります。

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