ムハンマド・ブン・マルワーン

アブー・アブドゥッラフマーン・ムハンマド・ブン・マルワーン・ブン・アル＝ハカム（没年719年または720年）は、ウマイヤ朝時代に活躍した重要な将軍です。彼は、ビザンツ帝国に対する軍事的な成功と、アルメニアにおける反乱の鎮圧で知られています。彼の息子であるマルワーン2世は、ウマイヤ朝最後のカリフとなりました。

生い立ちと初期の活動

ムハンマドは、カリフ・マルワーン1世と奴隷の女性ザイナブの間に生まれました。異母兄弟には、後のカリフとなるアブドゥルマリクがいます。マルワーン1世の治世初期に、ムハンマドはアルメニアの支配権を確立するためにメソポタミア北部に派遣されました。691年には、マスキンの戦いでアブドゥルマリク軍の前衛部隊を率い、反ウマイヤ朝勢力と戦いました。

ビザンツ帝国との戦い

ムハンマドは、ビザンツ帝国との戦いで数々の勝利を収めました。692年のセバストポリスの戦いでは、スラヴ人部隊を寝返らせることに成功し、ビザンツ軍を打ち破りました。翌年には、スラヴ人の助けを借りて小アジアに侵攻し、ゲルマニケイア近郊で再びビザンツ軍に勝利しました。695年には、ビザンツ帝国領アルメニア第4州を襲撃しました。

アルメニアの反乱鎮圧

701年、ムハンマドはユーフラテス川東方のアルメニア地方に対する軍事行動を指揮し、現地の住民とビザンツ帝国の総督にウマイヤ朝への服従を強要しました。しかし、ムハンマドがその地を離れると、アルメニア人は反乱を起こし、ビザンツ帝国の支援を求めました。ムハンマドは703年と704年の2度にわたる軍事作戦でこの反乱を鎮圧し、705年にはアルメニア貴族を大規模に殺戮することで、イスラム教徒による支配を確立しました。

その後の人生

705年にワリード1世がカリフに即位すると、ムハンマドは徐々にその地位を失い始めました。甥のマスラマ・ブン・アブドゥルマリクが台頭し、ビザンツ帝国に対する軍事行動の主導権を握り、709年または710年にはメソポタミア、アルメニア、アゼルバイジャンの総督の地位を完全にムハンマドから奪いました。ムハンマドは719年または720年に死去しました。

家族

ムハンマドは、最後のウマイヤ朝カリフとなったマルワーン2世の父親です。マルワーン2世の母親は、クルド人とされる名前不詳の女性でした。また、ムハンマドは、アディー氏族のウンム・ジュマイル・ビント・アブドゥッラフマーンと、アブド・シャムス氏族のビント・ヤズィード・ブン・アブドゥッラーとも結婚しました。

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